臨床皮膚科29巻3号

1975年03月発行

原著

T．rubrumによる白癬菌性肉芽腫の1例

著者： 広永正紀¹ 川崎平和¹

所属機関： ¹和歌山県立医大皮膚科学教室

ページ範囲：P.227 - P.233

文献概要

　幼小より白癬に罹患，グリセオフルビン内服を含む様々な治療にも抵抗，軽快と増悪をくり返すうち，右下肢のびまん性腫脹・両側鼠径部リンパ節腫脹及び右大腿に大小の潰瘍化を伴う暗赤色の腫瘤形成をみるに至る．表在性病変よりT．Mentagrophy—tes, T．rubrumが，腫瘤部組織よりT．rubrumが分離された．組織では皮膚腫瘤及びリンパ節共に多数の真菌要素を異物型巨細胞を混じた円形細胞・小型組織球等よりなる肉芽腫性病変内に示した．トリコフィチン反応・ツ反応共に陰性であつた．