文献詳細
綜説
文献概要
脂腺細胞で生合成され,排泄される脂質を皮脂という.しかし脂腺は全分泌腺であるため,脂質を合成する細胞そのものも自壊排泄される.したがつて種々の細胞成分脂質が混入する.新生皮脂は脂腺導管,毛包漏斗部を通過して皮表へ出るが,その過程でリパーゼの作用を受けて組成に変化が生ずる.また脂腺経由で排出される物質も皮脂に混入することは当然のことと考えられる(塩化ビフェニールなど).
このように複雑な諸因子が介在するなかで,新生皮脂のみを純粋に抽出し,その組成,構造を化学的に決定し,生合成を追求することは極めて困難である.そのため皮脂の研究には,皮表脂質,皮脂様脂質(胎脂vernix caseosa,毛嚢嚢腫などの脂質)あるいは表皮,角質脂質などが対象とされ,比較検討のうえ組成,構造,生合成経路が推定されてきた.
このように複雑な諸因子が介在するなかで,新生皮脂のみを純粋に抽出し,その組成,構造を化学的に決定し,生合成を追求することは極めて困難である.そのため皮脂の研究には,皮表脂質,皮脂様脂質(胎脂vernix caseosa,毛嚢嚢腫などの脂質)あるいは表皮,角質脂質などが対象とされ,比較検討のうえ組成,構造,生合成経路が推定されてきた.
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