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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科29巻6号

1975年06月発行

原著

眼瞼色素沈着症

著者: 井上勝平1 桑原宏始1 小野友道1 緒方明詔1 永広雄一1

所属機関: 1熊本大学皮膚科教室

ページ範囲:P.461 - P.466

文献概要

 眼瞼色素沈着症の9症例(男1例,女8例)を報告した.
 初診時年齢は38歳より70歳,平均53.7歳である.初発年齢は明確ではないが,20歳台までに目立つて来たと陳述したものが5例ある.6例に家族内発生を認めた.局所合併症として,眼瞼黄色腫4例,老人性面疱1例,全身性疾患として糖尿病2例,慢性肝炎,高血圧,高脂血症各1例がある.組織学的にみて色素沈着の主体は表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層melanophageの出現による.
 本症はclinical entityと見做すことが出来るが,その発症病理は単一ではない.大きく遺伝説(常染色体性優性遺伝)と全身疾患影響説(泌尿生殖器疾患,肝疾患など)に分けられる.自験例で局所因子が重視されている正脂症性の眼瞼黄色腫などの合併が多かつたことから,眼瞼皮膚全体の脆弱性が発症基盤にあるものと推測したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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