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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科29巻8号

1975年08月発行

文献概要

原著

Sezary症候群(T cell Erythroderma)の1例

著者: 笹岡和夫1 井上晃2 上平憲3 力丸正治4 広渡徳治4 高橋勇4

所属機関: 1長崎市民病院皮膚科 2長崎市民病院内科 3長崎大学医学部原爆研究所内科 4長崎大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.671 - P.676

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 59歳,男.紅皮症,指趾の浸潤性紅斑,掌蹠角化と爪の萎縮を主徴とし,表在リンパ節腫,肝腫大,末梢血に異型細胞の出現(20%)をみとめたSezary症候群の1典型例を報告し,異型細胞の免疫細胞学的検索結果をもとに,Sezary細胞の起源,本症におけるいくつかの問題点について若干の考察を行なつた.
 自験例で,患者末梢血中にみられた異型細胞は,従来のSezary細胞の特徴を有し,免疫細胞学的検査では,羊赤血球を結合してロゼットを形成し,細胞表面に免疫グロブリンが証明されないことから,T-cell (胸腺由来リンパ球)に属するリンパ球であろうと推測された.また,末梢血のみならず,皮膚潮紅部にも,発疱膏貼布による水疱内細胞の検索で,対照に比し顕著なT-cellの浸潤が観察された.
 したがつて本症候群は,Winkelmannが主張するごとく,末梢血と皮膚にT-cellが異常に増殖した疾患(T cell erythroderma)であると考えられるが,独立疾患か否かは,まだ明らかでない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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