原著
血清IgE高値を示す高齢者の慢性湿疹
著者:
須貝哲郎1
高橋洋子1
高木喬1
所属機関:
1大阪回生病院皮膚科
ページ範囲:P.791 - P.797
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血清IgEが1,000u/ml以上を示した高齢者の慢性湿疹および中年層の乾燥性貨幣状湿疹ないし散布疹の患者18例について,その臨床像をまとめ,アトピー性皮膚炎との関連性について検討した.気管支喘息を合併した男女各2例においては,45歳以後に喘息を発症し,それとともに,あるいは遅れて発疹をみ,喘息発作と皮疹出現に関連性がみられ,かつ小児湿疹の既往や家族歴を有する例もあり,アトピー性皮膚炎の可能性が大きい.喘息を合併せぬ14例においても,60歳以上の高齢者群ではその皮膚症状が喘息合併群に類似し,乾燥性貨幣状湿疹型や痒疹型をとる中年層の皮疹との間に移行像がみられた.日光皮膚炎型の1例と痒疹型の1例を除き,皮疹は被覆部に好発し,容易に苔癬化,色素沈着および痒疹化の傾向は示した.これらがアトピー性皮膚炎かどうかについては今後の検討を要する.