薬剤
接触皮膚炎に対する抗ヒスタミン剤の効果
著者:
谷奥喜平1
矢村卓三2
武田克之3
島雄周平4
永井隆吉5
須貝哲郎6
籏野倫7
所属機関:
1岡山大学医学部皮膚科
2広島大学医学部皮膚科
3徳島大学医学部皮膚科
4鳥取大学医学部皮膚科
5横浜市立大学医学部皮膚科
6大阪回生病院皮膚科
7慶応義塾大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.827 - P.830
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湿疹・皮膚炎の治療は外用療法を主とする他,全身的に抗ヒスタミン剤を投与することが多くの皮膚科医の考え方であるが,この抗ヒスタミン剤の投与の意義については必らずしも十分に明らかにされていない.抗ヒスタミン剤が蕁麻疹に有効であることはいうまでもない1)が湿疹・皮膚炎の発症にヒスタミンが関与するという積極的な証明は残念ながら寡聞にしてしらない.したがつて湿疹・皮膚炎の治療に抗ヒスタミン剤の投与が稀ならず行われているとはいえ,古くから抗ヒスタミン剤の有する局所麻痺作用と中枢抑制作用の他,炎症に伴なう血管透過性亢進抑制作用が期待されて止痒の意味で用いられているにすぎないようである.ましてや抗ヒスタミン剤が湿疹・皮膚炎に真に有効であるか否かを多数例を対象にした二重盲検試験の成績から検討した報告はないのが現況である.ここに私共が接触皮膚炎に対して抗ヒスタミン剤の効果を二重盲検試験により検討することを試みた所以がある.
試験目的 抗ヒスタミン剤HS592の湿疹・皮膚炎の瘙痒に対する有効性と安全性を不活性プラセボを対照薬として二重盲検法により比較検討する.