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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科30巻11号

1976年11月発行

文献概要

原著

転移性皮膚癌の検討—発生部位ならびに予後について

著者: 田中雅祐1 居村洋1 山本忠利1 武田克之1 桑原章2 木下浩彰3

所属機関: 1徳島大学医学部皮膚科学教室 2愛媛県立中央病院皮膚科 3徳島市民病院皮膚科

ページ範囲:P.893 - P.898

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 内臓癌から皮膚転移した19症例について転移部位と予後を中心に臨床病理学的に検討した.
 原発巣は乳癌が最も多く,続いて肺,胃腸癌であり,転移巣は原発腫瘍に近接する皮膚に好発した.なお皮膚転移巣が出現した患者の予後は悪く,生存期間は平均9.5カ月であり,ほとんどが2年以内に死亡した.
 原発巣手術症例の多く(71%)で手術瘢痕部内またはその周囲の皮膚に転移巣が生じたことから,皮膚転移の機序については摘除腫瘍の残存,手術操作による播種のほか,肉芽に転移が形成きれやすいことも一因と考えた.したがつて肉芽形成が旺盛である術後5〜10日頃に制癌剤を投与することが内臓癌からの皮膚転移の予防に役立つものと推測した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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