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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科30巻12号

1976年12月発行

雑誌目次

図譜・410

黄癬

著者: 浜坂幸吉 ,   大西修 ,   大河原章 ,   小野塚仡

ページ範囲:P.944 - P.945

患者 40歳,女性,札幌市在住
初診 昭和48年5月17日

原著

日光蕁麻疹の3例—色螢光ランプによるテスト

著者: 入交敏勝 ,   佐藤吉昭 ,   大川原脩介 ,   船橋俊行

ページ範囲:P.947 - P.953

 18歳女,27歳男,19歳女の日光蕁麻疹3例を報告した.作用波長はそれぞれ400〜470nm,410〜430nm,300〜380nmであり,PK反応は第1例のみ陽性,逆PK反応は全例陰性であつた.作用波長の検索にはmonochromatorと一部色螢光ランプを使用した.色螢光ランプにはランプ固有の波長域以外にも輝線スペクトルが出ているものがあることがわかり,フィルターでこれを除去する必要のあることを述べた.また最近の文献より病型,治療などについて考察した.

潰瘍形成がみられた汎発性環状肉芽腫

著者: 重見文雄 ,   福本洋治 ,   桑原章

ページ範囲:P.955 - P.958

 潰瘍を形成した汎発性環状肉芽腫の32歳,女子症例を報告した.初診時,両手背,指,足背,趾,膝蓋部に豌豆大迄の紅色丘疹が計40数個散発していた.丘疹は孤立性でほとんど中心臍窩を有し,鱗屑及び黄色痂皮が付着していた.組織検査では表皮直下にpalisa—ding granulomaがみられ,膠原線維変性病巣に接した表皮は壊死していた.
 コルチコステロイド外用療法後に再燃した丘疹は受診時より小さく米粒大で,耳介にもみられ,手背では集簇し,環状に配列した.

小児のジューリング疱疹状皮膚炎の1例

著者: 井階幸一 ,   今村貞夫

ページ範囲:P.959 - P.963

 生後5カ月より発症した5歳女児のジューリング疱疹状皮膚炎の症例を報告した.皮疹は,主として体幹に,環状に配列する小水疱であり,拡大傾向を示す.激しい瘙痒があるが,消化器症状その他全身症状は認められない.組織学的には,表皮下水疱で,螢光抗体直接法では,真皮表皮接合部にFibrinogenの沈着がみられたが,免疫グロブリン,補体の沈着は認められなかつた.治療としてDDSを投与し,瘙痒は改善した.小児の水疱性疾患,とくに水疱性類天疱瘡,ジューリング疱疹状皮膚炎,および"Benign chronic bullous dermatosis of childhood"について,その異同,鑑別につき,若干考察した.

血清免疫グロブリン異常を伴う皮膚ムチン沈着症

著者: 嶋崎匡 ,   田宮幸一 ,   丹呉幹彦 ,   石谷孝

ページ範囲:P.965 - P.970

 免疫グロブリン異常に伴つたムチン沈着症の3例について報告した.3例ともに血清蛋白分画でγ—グロブリンの増加が認められ,さらに2例ではそれぞれIgG, IgMのMo— noclonal gammopathyを示した.基礎疾患として反応性細網症,原発性マクログロブリネミア(Waldenstrom),肝硬変症を認めた.

顔面に限局した結節性粘液水腫の1例

著者: 庄司道子

ページ範囲:P.971 - P.974

 43歳男子の頭部顔面に限局した結節性粘液水腫の1例を報告した.甲状腺機能に異常なく,病因は不明であるが,誘因として物理的機械的刺激が重視される.治療としてはヒアルロニダーゼ局注とハイドロコーチゾン局注が奏効した.

膿疱性乾癬の1例—使用薬剤の効果と発症機序の推測

著者: 島田義昌 ,   伊勢信子 ,   下重孝子 ,   川名誠司

ページ範囲:P.975 - P.980

 Baker分類第Ⅱ型に属する老人の膿疱性乾癬を経験したので報告する.ステロイド剤は著効を示したが,減量時の反跳が著しかつた.メソトレキセイトは,発熱,嘔吐,食欲不振などを起こしたが,最終的には有効であつたと考える.その際,カルシウム剤の併用がよかつたように思われた.また小さな症状増悪には,インドメサシン挫薬も若干の効果を示した.以上の経験より,使用薬剤の作用機序と本疾患の病因との関係について推測的考察を加えた.

Angioleiomyoma

著者: 早川律子 ,   小林美恵 ,   田中隆義 ,   岡田吉郎

ページ範囲:P.981 - P.984

 Angioleiomyomaはグロームス腫瘍とともに有痛性良性腫瘍の代表として考えられるものであるが,臨床診断のむずかしい疾患といわれている.本腫瘍は皮膚科領域では比較的まれな疾患とされているが,病理組織標本からの統計では,多数の症例が報告されている.実際にはもつと多数の症例が存在すると推定されるが,臨床診断が困難なため,見逃されているとも考えられる.しかしながら注意深い観察をすれば,臨床診断もさして困難ではないと考えられる.今回われわれは中年女性の下腿伸側に典型的な臨床所見を有する(ごく軽微な刺激に対しても激痛を感じ,単発性可動性を有し,直径約1cm,常色の皮下結節)1例を経験したので報告する.

乳房外ページェット病の1例

著者: 江上和也 ,   石野八州子 ,   前島和樹 ,   堀真 ,   西本勝太郎

ページ範囲:P.985 - P.990

 72歳の男性の外陰部に生じた乳房外ページェット病の1例について報告するとともに,ページェット細胞の電顕的所見を中心に若干の文献的考察をおこなつた.
 病理組織学的には,ほぼ表皮基底層に一致して,周辺の有棘細胞にくらべ大型で明るい細胞質を有するページェット細胞が多数みられた.ページェット細胞はジアスターゼ抵抗PAS陽性,アルシャンブルー染色陽性であつた.
 電顕的にはページェット細胞は,ほぼ次の如き所見を呈した.1)ページェット細胞は大型で,電子密度の低い細胞質を有する.2)トノフィラメントはほとんどみられない.3)デスモゾームの発育が悪い.4)小胞体,ミトコンドリア,グリコーゲン顆粒を細胞質に多数みとめる.5)ゴルヂ装置の発育が良好である.6)分泌顆粒と思われるものをみとめる.

乾癬治療中に発生した扁平上皮癌の2例

著者: 土井福子 ,   稲田修一 ,   妹尾浩一 ,   地土井嚢璽 ,   卜部康道

ページ範囲:P.991 - P.996

 乾癬の治療中に頭部に扁平上皮癌が発生した53歳男と49歳男の2症例を報告した.
 2症例とも20年来ほぼ全身に乾癬病巣があり,第1症例はタール剤の外用7年間,限界線照射を約10年間受け,第2症例はタール剤の外用1年間,限界線照射約10年間受けていた.
 本邦において,乾癬に併発した扁平上皮癌の報告は,過去30年間我々が検索しえた限りでは2例のみであつた.乾癬病巣と扁平上皮癌の発生に関して,1)扁平上皮癌が乾癬病巣部に偶然に一致して発生した.2)乾癬の治療によつて扁平上皮癌が発生した.3)乾癬病巣が直接癌化したの3つの可能性について,本邦報告例2例と我々の症例2例の計4例について検討し,我々の2症例は,発癌因子として限界線照射の関与がより強いと考えた.

グロムス腫瘍の2例

著者: 森下玲子 ,   阿世知節夫

ページ範囲:P.997 - P.1005

 54歳,男子,左肘頭部,24歳,男子,右第Ⅲ指爪床部の単発型グロムス腫瘍2例を報告した.また集録しえた本邦報告例180例について,その統計的考察を加えた.すなわち,単発型160例,多発型20例で,単発型の発生部位は,上肢にもつとも多く103例,なかでも指が77例で単発型の大半を占めている.皮膚以外にも胃・十二指腸,骨,鼻腔に報告がみられた.グロムス腫瘍は紫青色あるいは赤色,弾性軟で,激しい疼痛が特徴的な小腫瘤で,経過は緩慢な良性腫瘍である.統計によると,発症してから受診までの期間は長く,5年以上経過したものが単発型で45.5%,多発型64.7%であつた.

Trichofolliculoma—1例の報告

著者: 石倉多美子

ページ範囲:P.1007 - P.1010

 6歳の女児で1歳頃から鼻背にtrichofolliculomaを生じた症例を記述した.腫瘍の実質を成す毛嚢状構造は比較的小さく,間質成分の方がより多かつた.このことは本例が6歳の小児で腫瘍実質を成す毛嚢状構造の発育がまだ不充分であるためと推測した.

Behcet病の皮膚病変の病理形態

著者: 所安夫 ,   瀬戸輝一 ,   阿部由明 ,   高橋久 ,   高橋吉定

ページ範囲:P.1011 - P.1020

 39例のBehcet病の皮膚を材料として,その臨床と病理とを対比させつつ,特に詳細な病理組織学的観察をこころみた.皮膚病変の臨床所見はきわめて多彩であるが,独特な個性を示すことなく,又同一人の身体各所皮膚に長い経過中種々の異つた病変が継発多発する.病理組織学も又臨床を反映して多彩を極める.病変は必ずしも本質的に同一の枠に入れられない.便宜上,組織像によつて病変を分類すると,(Ⅰ)血管を主座とす,(Ⅱ)直皮と皮下脂肪織の両域を広く主座とす,(Ⅲ)直皮又は皮下脂肪織の一方に概ね限局す,(Ⅳ)毛のう或は附属器を主座とす,以上4型の病変星座的分類をうる.この4型の一部は別として大半は,組織型と臨床所見とがピッタリ対応しない.4型に分類された全ての内容は,どれ一つも特異性を欠く.即ち他病変と異ならぬ.結局,皮膚病変はカレイドスコープを見る如く,予めBehcet病患者と教えられない限り,組織像のみから本疾患と診断しえない.ちなみに皮膚は,第1次因の不明な本症解明に貢献すること誠に乏しい.

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臨床皮膚科 第30巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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