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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科30巻2号

1976年02月発行

雑誌目次

図譜・400

尋常性狼瘡

著者: 楠俊雄 ,   久保範也 ,   池谷精司 ,   原田誠一

ページ範囲:P.102 - P.103

患者 41歳,男子,百貨店店員
初診 昭和49年10月2日

原著

基底細胞癌における間質のアミロイド沈着

著者: 江竜喜史 ,   川島愛雄 ,   岡田芳子

ページ範囲:P.105 - P.111

 金沢大学皮膚科において昭和36年6月から同49年9月までに観察された基底細胞癌54例について検索し,11例(20%)において間質にアミロイド沈着を認めた.これら11例の全例において癌巣周囲に酸性粘液多糖類の増加を認めた.アミロイド沈着は,酸性粘液多糖類の増加と膠原線維の少量の増加を伴う例で顕著であつた.なお,エラスターゼ消化・コンゴ赤染色などを行なつたが,elastic amyloidは見い出されなかつた.上述の11例の3例において電顕的観察を行ない,定型的なアミロイド細線維が島状をなしている所見を得た.基底板近くのアミロイド細線維は基底板と接してみられた.基底細胞癌間質のアミロイド沈着の成因については,癌の持続的刺激下で間質の結合織の反応に異常をきたし,続発的に局所性にアミロイド沈着が起こると推測した.

Disseminated Intravascular Coagulation Syndromeを呈して死亡した悪性黒色腫の1例—当教室における過去12年間の悪性黒色腫の集計を含めて

著者: 北村啓次郎 ,   加茂紘一郎 ,   籏野倫 ,   広橋説雄

ページ範囲:P.113 - P.122

 62歳女子,左下腿に発生したNodular Melanoma,初診1年4カ月後,(全経過約2年)全身転移のため死亡した1剖検例を報告した.本例の直接死因は,末期に合併したDi—sseminated intravascular coagulation syndrome (DIC)による脳出血とそれによる脳ヘルニアであり,病理組織学的に,肺,心,肝,腎などの末梢血管にフィブリン血栓を認め,DICと確診し得た.また本例の黒色腫細胞仁は大型のballoon cellが混じ,いわゆるba—lloon cell melanomaと考えた.
 DICにつき若干の考察を述べ,さらに,昭和38年から49年度までに教室で経験した黒色腫例につき検討した.その結果,nodular type,腫瘍細胞がlarge epithelioidで,細胞の悪性度が高く(核分裂像が多い),浸潤度の深いものほど予後不良であつた.また転移の進行度を知る指標としてLDH上昇(アイソザイムⅣ型),CRPの陽転に注目した.

Chronic Mucocutaneous Candidiasis—多彩な臨床像を呈したCandida-endocrinopathy Syndromeの1例

著者: 楠俊雄 ,   原田誠一

ページ範囲:P.123 - P.130

 多彩な臨床像を呈し,慢性副腎皮質不全症を伴つた12歳男子のChronic mucocutaneous candidiasisの1例を報告する.爪カンジダ症,カンジダ性口角炎・舌炎のほか手掌・指腹の角質増殖型皮膚カンジダ症がみられ,皮膚合併症として浅在性白癬(左大腿,右足背),爪白癬(右趾爪),扁平母斑を認めた.さらに角膜白斑,び漫性表層角膜炎,視力障害などの眼病変と細胞性免疫不全症候群,鉄欠乏性貧血,ビタミンA欠乏症が認められた.
 自験例はClotrimazole(Bay b 5097),4, 5', 8-Trimethylpsoralen(TMP),鉄剤投与,カンジダワクチン注射などの治療に抵抗し改善をみていない.なお慢性副腎皮質不全症,ビダミンA欠乏症,眼病変のみられたChronic mucocutaneous candidlasisは自験例が本邦最初の例と思われる.

母斑性基底細胞上皮腫症候群

著者: 新井春枝

ページ範囲:P.131 - P.139

 Nevoid basal cell epithelioma syndrome(以下NBCESと略す)の同義語には,nevoid basal cell carcinoma syndrome,basal cell nevoid syndrome,basal cell nevussyndrome等があり,Jarisch1)の記載後,約150例の報告がみられる.
 臨床所見の特徴は42,52)1.multiple basal cell carcinoma (Naevobasalioma,母斑性基底細胞上皮腫,基底細胞母斑等.以後NBCEと略す),2.epithelial-lined jaw cysts,3.variedskeletal anomalies,4.ectopic calcification,5.skin pitsである.眼および中枢神経系の異常や奇形の併発例も多く,母斑症の概念(the fifth phacomatosis)21,23,31,42,49)が導入されている先天性,家族性,遺伝性の症候群である.
 皮膚病変は多発するNBCEとpitであるが,自験例は種々の表皮性の嚢腫,黒子および母斑細胞母斑が同時に多発し,さらに青色母斑,血管腫および結合織母斑等が併発している,文献上,種々の嚢腫,面皰,稗粒腫,掌蹠の角化症,線維腫,母斑細胞母斑,脂肪腫,角質棘細胞腫,老人性角化腫,有棘細胞癌等の合併症例がある.
 自験例および文献を検討した結果,次の結論を得た.即ちNBCESの皮膚病変は外胚葉系のNBCEおよびpitだけでなく,他器官と同じく,外胚葉—中胚葉起原のあらゆる腫瘍ならびに母斑が発現する可能性が潜在し,さらにvan der Hoeveの定義した母斑症としての性格をもみたす症候群である.

皮膚子宮内膜症

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.141 - P.146

 33歳,女子の会陰部に発生した稀有な子宮内膜症の1例を報告した.子宮内膜症は子宮内膜組織が子宮腔以外の部位に異所性に発生した疾患で骨盤腔内臓器以外に種々の臓器に生じる.皮膚にも発生しこれらをSteck & Helwigは皮膚子宮内膜症(cutaneous endo—metriosis)と命名している.臨床的に黒色調を帯びた嚢腫様の結節で,月経時に疼痛を訴え,更に,皮疹の腫大,時には皮疹よりの出血を認める事もあるのが特徴である.組織学的に内膜症に特有な腺様空隙および間質が見られる.また,子宮内膜症のhistogenesisに関する学説は多いが,その主要のものについて説明を加えた.

天疱瘡における2,3の免疫学的知見

著者: 菅原信 ,   原田敬之 ,   真海文雄 ,   西川武二 ,   籏野倫

ページ範囲:P.147 - P.153

 最近当科を受診した3例の天疱瘡患者(尋常性天疱瘡,落葉状天疱瘡,紅斑性天疱瘡各1例)の経過概略を報告するとともに,免疫学的検索にて得られた2,3の知見を報告した.すなわち,3例においてその血清抗表皮細胞間抗体(天疱瘡抗体)を経時的に数回にわたつて検索し,その抗体価は皮疹の消長とほぼ平行して推移するという結果を得た.またこの抗体の免疫グロブリンクラスはIgGで,血清の補体不活化および人赤血球(A型,B型)による吸収後もその抗体価は不変であつた.また1例においては細胞免疫能の低下が疑われる結果を得たので併せて報告した.さらに天疱瘡と他の免疫異常について若干の文献的考察を加えた.

組織学的にPapillomatose Confluente et Reticuleeの所見を示し,色素性痒疹様の皮膚症状をきたした1例について

著者: 古田彦太郎 ,   多田広祠 ,   松田博子

ページ範囲:P.155 - P.161

 臨床的には長島らの記載した色素性痒疹に一致し,組織学的にはPapillomatoseconfluente et reticuleeに一致する所見のみられた21歳女性の1例を報告した.
 この症例の初発疹は乳房間部における膨疹様扁平丘疹であり,月経期およびその前後に瘙痒発作をきたし,その度毎に皮疹の増悪,拡大をきたした.しかし初診時より投与したsulfis—omezoleは著効を呈し,以後瘙痒発作の発現はみられなくなつた.また初診時組織学的に認められたpapillomatosisも3週間後には著しく軽快する傾向を示した.
 自験例はPapillomatose confluente et reticuleeと色素性痒疹の両者の特徴を併有し,両疾患の異同に関して問題を提起する興味ある1例と考えられたのでここに報告した.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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