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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科30巻2号

1976年02月発行

文献概要

原著

母斑性基底細胞上皮腫症候群

著者: 新井春枝1

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.131 - P.139

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 Nevoid basal cell epithelioma syndrome(以下NBCESと略す)の同義語には,nevoid basal cell carcinoma syndrome,basal cell nevoid syndrome,basal cell nevussyndrome等があり,Jarisch1)の記載後,約150例の報告がみられる.
 臨床所見の特徴は42,52)1.multiple basal cell carcinoma (Naevobasalioma,母斑性基底細胞上皮腫,基底細胞母斑等.以後NBCEと略す),2.epithelial-lined jaw cysts,3.variedskeletal anomalies,4.ectopic calcification,5.skin pitsである.眼および中枢神経系の異常や奇形の併発例も多く,母斑症の概念(the fifth phacomatosis)21,23,31,42,49)が導入されている先天性,家族性,遺伝性の症候群である.
 皮膚病変は多発するNBCEとpitであるが,自験例は種々の表皮性の嚢腫,黒子および母斑細胞母斑が同時に多発し,さらに青色母斑,血管腫および結合織母斑等が併発している,文献上,種々の嚢腫,面皰,稗粒腫,掌蹠の角化症,線維腫,母斑細胞母斑,脂肪腫,角質棘細胞腫,老人性角化腫,有棘細胞癌等の合併症例がある.
 自験例および文献を検討した結果,次の結論を得た.即ちNBCESの皮膚病変は外胚葉系のNBCEおよびpitだけでなく,他器官と同じく,外胚葉—中胚葉起原のあらゆる腫瘍ならびに母斑が発現する可能性が潜在し,さらにvan der Hoeveの定義した母斑症としての性格をもみたす症候群である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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