icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科30巻5号

1976年05月発行

文献概要

原著

表皮型多形紅斑と薬剤過敏

著者: 東順子1 須貝哲郎2

所属機関: 1市立柏原病院皮膚科 2大阪回生病院皮膚科

ページ範囲:P.391 - P.397

文献購入ページに移動
 臨床的に多形紅斑,スティーブンス・ジョンソン症候群,紅皮症の像を示した症例を組織学的に検討すると,1)古典的な多形紅斑,すなわち表皮は特に異常なく,血管周囲性の細胞浸潤,真皮乳頭層の浮腫さらには表皮下水疱を認める真皮型と,2)真皮の炎症性変化は軽度であるが,表皮の変化の著しい表皮型の2型に分けられる.このように多形紅斑を組織学的に2型に分けうることは,Orfanosらによりすでに報告されている.著者らは臨床的に多形紅斑で初発した症例7例について,発疹時服用していた薬剤の誘発テストを行ない,臨床像の差に関係なく,組織学的に表皮型多形紅斑の像を示した5例では全て薬疹であることを確認し一方真皮型多形紅斑の像を示した2例では原因薬剤が見出せず,他の原因によるものと推定した.多形紅斑における組織学的な差異が発症原因の差とも関連していることが見出され,興味深い所見と考え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?