原著
表皮型多形紅斑と薬剤過敏
著者:
東順子1
須貝哲郎2
所属機関:
1市立柏原病院皮膚科
2大阪回生病院皮膚科
ページ範囲:P.391 - P.397
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臨床的に多形紅斑,スティーブンス・ジョンソン症候群,紅皮症の像を示した症例を組織学的に検討すると,1)古典的な多形紅斑,すなわち表皮は特に異常なく,血管周囲性の細胞浸潤,真皮乳頭層の浮腫さらには表皮下水疱を認める真皮型と,2)真皮の炎症性変化は軽度であるが,表皮の変化の著しい表皮型の2型に分けられる.このように多形紅斑を組織学的に2型に分けうることは,Orfanosらによりすでに報告されている.著者らは臨床的に多形紅斑で初発した症例7例について,発疹時服用していた薬剤の誘発テストを行ない,臨床像の差に関係なく,組織学的に表皮型多形紅斑の像を示した5例では全て薬疹であることを確認し一方真皮型多形紅斑の像を示した2例では原因薬剤が見出せず,他の原因によるものと推定した.多形紅斑における組織学的な差異が発症原因の差とも関連していることが見出され,興味深い所見と考え報告した.