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紅斑症あるいは紅斑類と呼称される皮膚疾患はすべて紅斑を主徴とする疾患であるが,まことに種々雑多な多種の皮膚疾患ないし症候群を包含している.諸家によつて皮疹や経過などに僅かの差違が強調され,しばしば独立疾患として報告され記載されているので,紅斑症に属する疾患ははなはだ多数にのぼり,同症異名として整理される一方今日も猶本症に属する新しい疾患が報告される現状にある.この中には,多形紅斑や結節性紅斑など我々にとつてなじみ深い疾患が少なくなく,紅斑症は日常の皮膚科臨床に重要な地位を占めることには異論がない.これらを理解し易く,かつ記憶し易いように,何らかの形で整理分類することが出来れば,我々皮膚科医にとつてはなはだ有意義と考えられるが,これにはかなりの困難を伴う.著者らは紅斑症について考察する機会を得たので,本症に含まれる諸皮膚疾患の整理分類を試み,そのいくつかについて検討を加えたい.
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