薬剤
5-Fluorocytosine療法を行つたChromomycosisの2例
著者:
岩津都希雄1
苅谷英郎1
田辺義次1
所属機関:
1千葉大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.409 - P.414
文献購入ページに移動
Chromomycosisの治療は従来より種々の試みがなされてきているが,現在は小病巣に対してはAmphotericin Bの局注または切除ないし切除後植皮術を行う手術療法が,広範囲な病巣や内臓転移を有する症例にはAmphotericin Bの点滴静注が通例行われている.しかしAmphotericin Bの局注療法は長期入院を要し,また疼痛などの副作用もあり,その全身投与は有効血中濃度および有効組織内濃度が得られにくく,また副作用も大きいため,これにかわつて副作用が少なく経口投与が可能な薬剤の出現が待たれていた.5-Fluorocytosine(5-FC)はこれらの条件を満すものであるが,一方治療中に耐性が生じやすいという欠点を有していることが指摘されている.先に著者の1人である苅谷1)が5-FCを用いて完治したChromomycosisの1例を報告したが,今回,我々はさらに2例のChromomycosisに5-FCを投与する機会を得たので,その治療経験について報告し,そのうちの1例に対して,5-FC内服後のその血中濃度および尿中濃度の時間的推移を測定しえたので,その結果もあわせて報告する.また教室および関連病院で分離された16株のFonsecaea pedrosoiを用いて,これら臨床分離株に対する5-FCのMICを測定したところ,興味ある結果を得たのでこれについてもふれる.