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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科30巻7号

1976年07月発行

雑誌目次

図譜・405

Solitary Juvenile Xanthogranuloma

著者: 山本須賀子 ,   石川謹也

ページ範囲:P.500 - P.501

患者 4カ月,男子
主訴 右肩の腫瘤

綜説

レオロジーより見た微小循環の最近の諸問題

著者: 岡小天

ページ範囲:P.503 - P.505

1.微小循環におけるレオロジーの重要性
 物質の変形,流動に関する科学としてのレオロジーRheologyが誕生してからすでに半世紀近くの歳月が流れた.血液はふつうの流体と著しく異なつた流動特性を示すので,血液の循環を論ずる限りレオロジーが必要となるが,微小循環において特に然りである.
 微小循環ではレイノルズ数Re=ρUD/η(ρ:密度,D:管の直径,U:断面上の平均流速,η:粘度)は1に比べて十分小さい.たとえばイヌの場合,細動脈,毛細血管,細静脈のReはそれぞれ0.02,0.002,0.007である.このことは微小循環では血液の粘性効果は慣性効果に比して無視できないことを意味する.微小循環では,粘性効果により動脈内の拍動流はほぼ消えて,定常流とみなされる.

原著

橋本病に合併した疱疹状皮膚炎と思われる1例

著者: 木村恭一 ,   大西泰憲 ,   小林良一 ,   藤田甫 ,   十川聖三 ,   益田俊樹

ページ範囲:P.507 - P.512

 42歳女子,橋本病患者に環状紅斑,小水疱を合併し,疱疹状皮膚炎と考えられた1例を報告した.この例は種々の免疫異常を示唆する血清学的,免疫組織学的所見を呈したので,両疾患の関係について若干の考察を加えた.

Darier病—粘膜病変を伴つた例

著者: 大槻典男 ,   福田繁 ,   荒井邦夫 ,   近小弥太 ,   中川正昭 ,   松原藤継 ,   家城晃

ページ範囲:P.513 - P.518

 13歳で発病,胃癌を併発して67歳で死亡,剖検によつて咽喉頭・食道・直腸粘膜にも本症の病変が認められたDarier病の男の患者について述べた.なおDarier病における粘膜病変について若干の文献的考察を加えた.

有棘細胞癌に対する油性ブレオマイシン局注の著効例

著者: 谷垣武彦 ,   吉川邦彦 ,   遠藤秀彦 ,   奥村雄司 ,   小塚雄民

ページ範囲:P.519 - P.524

要約 眉間中央に発生した有棘細胞癌にレントゲン照射と油性ブレオマイシン局注(計115mg)を行い著効をみた70歳男子の症例を報告した.油性ブレオマイシンの副作用としては,局注直後37〜38℃の発熱と局所の発赤腫脹がみられると共に1〜2カ月にわたつて局注辺縁部に硬結を残し,瘙痒感,灼熱感を訴え,生検したところ油性肉芽腫の像がみられた.油性BLMは肺線維化等重篤な全身症状はなく,水溶性BLMに比べ有効投与量が少なくてすむ点は長所として評価できる.

Preangiitis Syndromeの1例

著者: 末次敏之 ,   森川孝雄 ,   村田譲治 ,   斎藤真理子

ページ範囲:P.525 - P.530

 27歳,女子,初診2カ月前より37℃台の弛張熱を伴つて顔面に紅斑が出現,徐々に紅斑は全身に拡大す.SLEの疑診にて即日入院.臨床経過:全経過を通して4回の発熱発作とそれに時を同じくして扁平隆起性・滲出性あるいは環状を呈する紅斑が出現,短時日に解熱とともに色素沈着を残さず消褪.自覚症状は,時に全身倦怠・悪心・関節痛・筋痛を訴えた.検査所見:血沈は中等度に亢進,白血球数は正常か時に減少,γ—グロブリンは常に上昇しRAは(+)〜(++)であつたがLE細胞・抗核抗体陰性.組織学的所見:表皮は正常・真皮・皮下組織にリンパ球系細胞からなるビマン性・血管周囲性あるいは皮膚付属器性の浸潤をみる.またLBT (−).治療:副腎皮質ホルモン投与開始5カ月後発熱発作はみられずγグロブリンは正常,RAは陰性化した.なお,患者は10歳頃より慢性扁桃腺炎に悩まされ20歳時扁桃摘出術を施行している.
 以上の臨床所見,検査所見ならびに経過より,大藤の提唱するpreangiitis syndromeと診断し,報告した.

5-FU局注療法が著効を呈した基底細胞上皮腫(蚕蝕性潰瘍型)の1例

著者: 前島和樹 ,   堀真 ,   西本勝太郎 ,   石野八州子 ,   江上和也 ,   伊東由泰

ページ範囲:P.531 - P.535

 88歳婦人の蚕蝕性潰瘍型の基底細胞上皮腫に5FUを局注し,肉眼的にも組織学的にも腫瘍の消失をえたので報告した.初診時,下顎中央に3.3×2.5cm,深さ0.8cmの不正四角形の潰瘍と,これを縁どる青黒色小結節を認めたが,5FU 4,200mg局注後は,1.8×1.5cm大となり,その後もさらに縮小し,局注開始より9カ月後には完全に瘢痕治癒した.組織学的には充実型を示し,治療後の標本では,腫瘍細胞の変性と周囲のリンパ球,形質細胞の密な浸潤が特徴的であつた.免疫学的には,PPD反応,マクロファージ遊走阻止試験が陰性にとどまつたが,DNCB試験では治療終了2カ月後に反応性の増強が認められた.高齢で手術不適当例には本療法は考慮されてよいものの1つであると考えた.

天疱瘡抗体の測定,その国際的基準化の試み

著者: 植木宏明 ,   野原望 ,   村田道里 ,   川村明義

ページ範囲:P.537 - P.542

 天疱瘡類抗体についてのinternational field trialsが未知患者血清を使用して実施された.抗原物質の不安定性,標識抗体の不統一,光学系の違い,観察眼の違い等によつて一部の成績にバラツキが見られた.抗原としてはサルの新鮮な食道粘膜が最適で,ヒト,ウサギ,モルモット食道あるいはヒト皮膚を利用したものもあるが,しばしば低力価を示し,抗原物質の不均質性を示した.使用された標識抗体液ではF/Pモル比,抗体蛋白量にかなりの差があり,それによる成績のバラツキも考えられた.著者等はF/Pモル比1.2,抗体蛋白量11〜22.5mcg/mlで純度の高い標識抗体を使用して,かなり高力価の特異性のある成績を得たが,一方光学系についてもランプの不統一による励起光量の差も大きいと考えられ,今後,この点についての配慮も必要である.以上の如き技術上の配慮と統一化によつて天疱瘡抗体測定値の客観性が保障される.

皮膚原発細網肉腫の1剖検例

著者: 吉江治彦

ページ範囲:P.543 - P.549

 皮膚原発細網肉腫の18歳女子例を報告した.約1年前より,左肩に皮膚腫瘍が発生.初診時,初発腫瘍周囲に数個の小腫瘍が散在,左腋窩リンパ節が腫大していた.治療によりこれら腫瘍は消褪したが,その後全身に皮膚腫瘍が多発,同時に歯齦,扁桃,眼瞼結膜にも腫瘍形成がみられ,白血化を伴うようになつた.全身に腫瘍多発後2回にわたり著明な腫瘍の消褪期があり,全経過2年5カ月で死亡.剖検時には腫瘍がわずかに残存するのみであつた.皮膚原発細網肉腫,細網肉腫の白血化と腫瘍の消長について考察を加えた.

汎発性白皮症の兄弟に多発した"黒子"について

著者: 辻卓夫 ,   斎藤忠夫

ページ範囲:P.553 - P.559

 9歳と7歳の汎発性白皮症の兄弟に多発した黒子(mole)について述べた.黒子の数はそれぞれ計56個,27個で,全身に出現し,留針頭大ないし米粒大の淡紅色の斑状または軽度隆起した小結節として認められた.光顕所見ではメラニン顆粒はほとんどみられないが,細胞の分布状態,分布位置および各細胞の特徴より色素細胞性母斑と診断した.これら皮疹の大部分は複合母斑の特徴を認め,他は境界母斑または真皮内母斑の特徴を示した.
 DOPA反応は境界部および真皮浅層部の母斑細胞に陽性を示した.電顕所見では境界部および真皮浅層部の母斑細胞において,メラノソームⅡ期およびⅢ期に加えてⅣ期のものもかなり認められ,本母斑細胞が軽度ながらメラニン産生能を有していることが判明した.なお人種による皮膚の色素量の差と黒子の発生頻度との関係についても文献的に考察を加えた.

Angiokeratoma Naeviformeの1例

著者: 北村弥 ,   飯岡昭子 ,   坂本邦樹

ページ範囲:P.563 - P.568

 6歳,女児の右下腿に生じたAngiokeratoma naeviformeの1例を報告し,被角血管腫およびその類症について,主として基盤となる血管変化に対する考え方を述べた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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