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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科30巻7号

1976年07月発行

文献概要

原著

5-FU局注療法が著効を呈した基底細胞上皮腫(蚕蝕性潰瘍型)の1例

著者: 前島和樹1 堀真1 西本勝太郎1 石野八州子1 江上和也1 伊東由泰1

所属機関: 1長崎大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.531 - P.535

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 88歳婦人の蚕蝕性潰瘍型の基底細胞上皮腫に5FUを局注し,肉眼的にも組織学的にも腫瘍の消失をえたので報告した.初診時,下顎中央に3.3×2.5cm,深さ0.8cmの不正四角形の潰瘍と,これを縁どる青黒色小結節を認めたが,5FU 4,200mg局注後は,1.8×1.5cm大となり,その後もさらに縮小し,局注開始より9カ月後には完全に瘢痕治癒した.組織学的には充実型を示し,治療後の標本では,腫瘍細胞の変性と周囲のリンパ球,形質細胞の密な浸潤が特徴的であつた.免疫学的には,PPD反応,マクロファージ遊走阻止試験が陰性にとどまつたが,DNCB試験では治療終了2カ月後に反応性の増強が認められた.高齢で手術不適当例には本療法は考慮されてよいものの1つであると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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