文献詳細
文献概要
原著
耳下腺混合腫瘍に合併した多発性脂腺腫瘍
著者: 奥知三1 山田瑞穂1
所属機関: 1大阪赤十字病院皮膚科
ページ範囲:P.697 - P.702
文献購入ページに移動要約 75歳,男子.約15年前より全身に瘙痒性紅斑があり,また約8年前より右耳下腺部に腫瘤があつた.初診時,全身に強い落屑ある紅褐色斑があり,右耳下腺部に手拳大の弾性硬の腫瘤をみとめた.また,胸部および背部にはそれぞれ1個ずつ,小指頭大の表面扁平な小結節がみとめられた.組織学的には,耳下腺部の腫瘤は多形腺腫から明細胞癌への悪性化がみられ,背部の小結節は脂腺腫および脂腺癌の像を呈していた.
本例では,耳下腺腫瘍および脂腺腫瘍いずれも転移などみとめられず,予後は良好であり,更に,興味ある脂腺腫瘍の組織像がみとめられた.また縦隔洞に腫瘍を疑わせる陰影を認め,紅皮症を合併していた.
最近,多数の脂腺腫瘍と内臓の悪性腫瘍特に結腸癌との合併する症例を"Torre症候群"として報告されているが,本例はこの症候群に類似している.
本例では,耳下腺腫瘍および脂腺腫瘍いずれも転移などみとめられず,予後は良好であり,更に,興味ある脂腺腫瘍の組織像がみとめられた.また縦隔洞に腫瘍を疑わせる陰影を認め,紅皮症を合併していた.
最近,多数の脂腺腫瘍と内臓の悪性腫瘍特に結腸癌との合併する症例を"Torre症候群"として報告されているが,本例はこの症候群に類似している.
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