文献詳細
原著
悪性リンパ腫に合併した汎発性単純疱疹
著者: 猿田隆夫1 木村秀人1 大隈貞夫1 中溝慶生1 光山正男2 加地正郎2 日野由和夫3
所属機関: 1九州大学温泉治療学研究所皮膚科教室 2九州大学温泉治療学研究所気候内科教室 3九州大学ウイルス学教室
ページ範囲:P.719 - P.726
文献概要
悪性リンパ腫は,頸部,鼠径部,腋窩のリンパ節腫大と,全身皮膚の播種状小結節としてみられ,光顕的,電顕的に悪性リンパ腫と診断した.検査所見ではIgAの減少,ツベルクリン反応陰性で,末梢血,骨髄像はほぼ正常であつた.VEMP療法開始1カ月後,全身皮膚に水疱形成をみたが,電顕的にヘルペスウイルスを認め,水疱内容のVero細胞接種により翌日,CPEを認めたことから単純疱疹と診断した.この際,CPEの形態で円形綿胞の弱い結合を認め,また水疱組織の電顕所見で核内に線維状構造を認めたことから,分離単純疱疹ウイルスは2型と同定した.また興味ある所見として,水疱底部の下方の真皮に浸潤している腫瘍細胞内にも,その核および細胞質に電顕においてヘルペスウイルスを認めた.本例は悪性リンパ腫に合併した汎発性単純疱疹としては,本邦における第1例である.
掲載誌情報