臨床皮膚科30巻9号

1976年09月発行

原著

下口唇に生じたCirsoid Aneurysm

著者： 田村晋也¹ 北村啓次郎¹ 長島正治¹ 藤野豊美²

所属機関： ¹慶応義塾大学医学部皮膚科教室 ²慶応義塾大学医学部形成外科

ページ範囲：P.729 - P.733

1）20歳男子の下口唇部に発生した異型血管腫の1例を，Conwayの記載に従つて，cirsoid aneurysmと診断し報告した．
2）下口唇部は暗赤色に腫脹すると共に，右下顎部には拍動性皮下腫瘤を触れ，同部には血管性雑音が聴取された．
3）組織学的にはいわゆるcapillary hemangiomaを伴うarteriovenous malformationであり，その変化は真皮のみならず皮下組織から筋層にまで達していた．
4）外科的にこれを加療し，美容的にも満足すべき結果を得た．術後約1年未だ再発を訴えていない．