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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科31巻10号

1977年10月発行

原著

乾癬患者における慢性砒素中毒症—有棘細胞癌,Bowen癌およびBowen病を多発した1例

著者: 細川みゑ子1 設楽篤幸1

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.835 - P.839

文献概要

 45歳,男子.尋常性乾癬治療の目的でアジア丸を約5年間にわたり(亜砒酸で総量約10.8g)服用し,慢性砒素中毒症をきたした.その後,約14年後に有棘細胞癌,Bowen癌およびBowen病を多発してきた.組織学的に検索した10個の皮疹中,有棘細胞癌2個,Bowen癌2個,Bowen病3個,砒素角化症3個が認められた.また有棘細胞癌の転移病巣が左鼠径部に認められた.有棘細胞癌,および転移病巣部の組織には,いずれも組織学的にBowen病を思わせる組織学的特徴は認められなかつた.外科的療法,放射線療法および抗癌剤投与により経過良好で,約1年6カ月後の現在,悪性皮膚病変の再発,新生は認められない.しかし,多数の砒素角化症がなお存在していることから,今後の注意深い観察が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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