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原著
Trichilemmal Cyst—光顕的ならびに電顕的観察
著者: 木村俊次1 中川恵美1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.887 - P.892
文献購入ページに移動 60歳男子,右側胸部に2年来認められた単発性腫瘤で1.5×1.0×0.5cm,ドーム状,弾力やや硬,被覆皮膚著変なし.自覚症状なし.組織学的に嚢腫壁の一部にkeratohyalinおよび核の遺残を認めるも,大部分は定型像を示す.壁を構成する細胞は電顕的にも外毛根鞘のそれに類似し,多数のdesmosome, tonofiramentの他,少数・円形・小形のkeratohyalinも有する.またMcGavranら1)の電顕所見とは異なつて,角化細胞直下の細胞のかなりのものにmembrane coating granuleが多数認められ,かつこれらが細胞間の小胞性ないし小球状の物質と近接している像もみられた.さらに角化した細胞とそれ以下の層との境界部の所見は,退行期ないし終毛期の棍毛と上皮嚢との関係に酷似しており,これらの点から本嚢腫は退行期ないし終毛期毛嚢の上皮嚢に由来すると考えられ,したがつて本嚢腫の名称としてtrichilemmal cystが最適であると結論した.
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