原著
若年性糖尿病患者にみられた黄色腫
著者:
斉藤隆三1
輿水隆2
所属機関:
1北里大学医学部皮膚科
2北里大学医学部小児科
ページ範囲:P.901 - P.905
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11歳女児,8歳の時偶然尿糖を指摘されるも放置していたところ,9歳になり外陰部のびらん,頻尿,口渇などを来し精査の結果糖尿病の診断となり,インシュリンによる治療を受ける.しかし,再三にわたり治療が中断され,その度に症状の悪化をみたが,その経過中に高脂血症を来し,肘頭,膝蓋部を中心に発疹性黄色腫の出現をみた.家族歴に糖尿病あるいは黄色腫はみられず.ほぼ正常範囲内にあつた血中の脂質が急激に増加しトリグリセライド5,000mg/dl,コレステロール1,410mg/dlと高値を示し,リポ蛋白分画にてカイロマイクロン27.4%,preβ+αリポ蛋白が59.5%であり,血清は上層のクリーム層と下層の白濁層の2層に分かれ高脂血症の分類でⅤ型に相当する.インシュリン投与により血糖,高脂血症共に軽減した.本例は若年性糖尿病患者にみられた定型的な糖尿病性黄色腫の症例である.