原著
Fisher-Evans症候群の免疫抑制療法中にみられた非定型的ヘルペスウイルス感染症の1例
著者:
桑原京介1
八木茂1
森嶋隆文1
所属機関:
1日本大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.109 - P.114
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Fisher-Evans症候群の診断のもとにImuranとPredonineで加療中,非定型的水痘ウイルス感染症とも診断すべぎ1例を経験した.臨床的特徴として,1)2月,4月,10月の計3度にわたり,発症したこと,2)罹患部位はおのおの異なり,両側性であり,分布は汎発性でなく,比較的限局性に集簇あるいは散在性に存し,粘膜疹を欠くこと,3)個疹はしばしば紅暈を有する小水疱あるいは硬く触れる血疱であり,中心臍窩はみとめがたかつたこと,4)皮疹は瘢痕をのこさず,消褪したこと,5)自覚症はないかあるいは神経痛様疼痛を訴えていたことなどがあげられる.病理組織学的にヘルペスウイルス感染症の定型像がえられ,水疱内容液の螢光抗体法による抗原の検出や分離,同定の結果,起因ウイルスはvaricella zoster virusであることが確認された.自験例における発症誘因として基礎疾患が自己免疫性疾患であるFisher-Evans症候群であること,副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤を使用したこと,ステロイド糖尿の発現をみたことなどが指摘ざれ,細胞性免疫低下を思わす所見もえられた.