icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科31巻3号

1977年03月発行

文献概要

印象記

アメリカ各大学の皮膚科教室を訪ねて(最終回)

著者: 山田瑞穂1

所属機関: 1大阪赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.244 - P.246

文献購入ページに移動
 Boston大学はStrauss教授が(休日だが)土曜がよいということで,約束の午前8時きつかりにフォルクスワーゲンでホテルに迎えに来てくれた.この病院はスラム街の中にあるので,のこのこと歩いて行くというわけには行かない.入口のホールに,前の学長の奥さんでレントゲンのDr.でもある人の作つた医学者の大きなレリーフがずらりと並んでいた.ラボの無人の研究室を1つ1つ鍵をあけて案内してくれ,脂質を分画したたくさんの資料を説明してくれた.別の建物の診察室で約束してある2人の患者(1人は1時間余り待たせた)の前額にチエンバーをのせて脂質をとり,細菌をとるという診察に同席した.看護婦もおらず,独りで,慣れた手つきでピペットを操作していた.1分間をはかるストップウォッチつきの腕時計はセイコーのデジタルであつた.患者を待つている間中,例によつて彼の得意とするacneの話をした.日本人はなぜacneに興味を持たないのか,お前はどうかといつたことから始まつて,acneの治療は抗生物質に限るというところまで続いた.数年間続けているということはその治療法では治らないということになると思うのだが,その答えは得られなかつた.
 MinnesotaのRochesterに着いてすぐにWinkelmann教授に電話すると,明朝7時半にEast 5—Bに来いということで,様子がわからなくておくれたりしてはいけないと思い,ホテルからMayo Clinic行きの無料のリムジンに乗ると,すぐ近くのビルであつた.翌早朝,指定の時間に行くと,外来患者の供覧で,scleroderma, lymphomaなど数例の供覧があり,PhiladelphiaやBostonと同じであるが,その後のdiscussi—onはむしろ臨床講義といつたもので,台湾出身のDr.Suが司会して,residentsを誘導して発言させて,黒板に症状を書きあげて行く.私にもsclerodermaには日本ではどんな治療をしているか,lymphocytomacutisに対してはどうかと聞いた.Atlantic Cityの学会S.I.D.で会つたスウェーデンのかなりの年配の小柄の女医さん(California大学に半年ほどいたという)も私と同じようにあちこち廻つているようで,ここで再会,私の隣に座つていたが,マデカゾールをずい分使つたが効かなかつたといい,私も同感だが効くという人もあると答えておいた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?