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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科31巻4号

1977年04月発行

雑誌目次

図譜・414

小児皮膚筋炎

著者: 井階幸一 ,   荻野篤彦 ,   北条博厚 ,   越後茂之 ,   片岡健吉

ページ範囲:P.258 - P.259

患者 6歳,女子
初診 昭和50年7月4日

原著

Erythropoietic Protoporphyriaの家族例

著者: 箭内祥子 ,   前田元道 ,   稲田修一 ,   山崎正博 ,   浜中和子

ページ範囲:P.261 - P.267

 31歳,男子.7歳頃より日光過敏性皮膚症状がある.各種ポルフィリン体測定,赤血球螢光検査,ならびにphotohemolysisより,erythropoietic protoporphyriaと診断した.
 家族調査にて息子2人に赤血球プロトポルフィリン値増加,赤血球螢光をみとめた.
 本症の本邦報告例を文献的に集計し,遺伝形式,皮膚症状などに関し,若干の考察をくわえた.

乳房Paget病—その4例と真皮内の螢光細胞(セロイド含有細胞)について

著者: 林良一 ,   設楽篤幸

ページ範囲:P.269 - P.274

 65歳の家婦にみられた乳房Paget病の1例において,真皮深層の変性に陥つた面疱癌の近くに,螢光細胞(セロイド含有細胞)を認めた.この機会に過去20年間に新潟大学皮膚科で経験した乳房Paget病計4例の予後について報告した.

いわゆるJuvenile Dermatitis Herpetiformisの1例

著者: 木村恭一 ,   福代新治

ページ範囲:P.275 - P.280

 1歳男児に見られたいわゆる小児疱疹状皮膚炎の1例を報告した.臨床像,サルファ剤に対する反応,組織像等からは自験例は類天疱瘡と疱疹状皮膚炎の両者の性格を有していたが,免疫組織所見では類天疱瘡のそれを示唆するものであつた.

カンジダ性毛瘡

著者: 笠井達也 ,   三浦幹枝

ページ範囲:P.281 - P.286

 63歳男子にみられたカンジダ性毛瘡の1例を報告した.その臨床所見は,下口唇唇紅部から頤部にかけての広汎な発赤腫脹を示す局面内に,毛嚢一致性の膿疱が多発し,硬結を伴うもので,少数の小結節は,口角を越えて上口唇の両外側部にも認められた.抜去した毛のKOH標本所見では,長くのびた菌糸が,毛根を網状にとりまいていたが,毛の中に菌が侵入する所見はなかつた.病理組織学的には,毛嚢中心性の,真皮全層にわたる稠密な細胞浸潤で,真皮内膿瘍を形成し,一部に毛嚢壁の破壊を認めた.PAS染色において,真皮内膿瘍中に菌要素が認められた.培養によりCandida albicansを分離.
 本症例は一見白癬性毛瘡に類似しており,これをカンジダ性毛嚢炎の中に包括するよりも,カンジダ性毛瘡と呼んで別個の病型として扱う方が,その特徴をより明確に表現するものと考えられるので,その理由をのべた.

抗核抗体高値を示した尋常性天疱瘡の1例

著者: 種田明生 ,   越山陽二 ,   増谷衛 ,   小川秀興

ページ範囲:P.287 - P.290

 我々は天疱瘡抗体ならびに高い抗核抗体を認めた尋常性天疱瘡例を経験したのを機に本症の抗核抗体とエリテマトーデスにおける抗核抗体との比較を検討してみた.本症の抗核抗体はDNAにて吸収されず,また対応する抗原物質はPhosphate Buffer Saline (PBS)に可溶性であつた.したがつて,本症例に認められた抗核抗体はエリテマトーデスにおいて多く認められるような抗DNA抗体ではなく,RA, Scleroderma等に認められるむしろ二次的な抗体と思われる.

Multicentric Reticulohistiocytosisの1例

著者: 笹岡和夫 ,   平野徹 ,   伊藤瑞子 ,   山浦英明 ,   堀真 ,   高橋勇

ページ範囲:P.291 - P.297

要約 70歳,男.昭和49年1月頃より,ほぼ全身に帽針頭大の紅色丘疹を汎発し,2月より豌豆大位までの小結節となり,耳介,手指,関節背面,胸部,臀部では集簇性に多発し,多発性関節炎を生じて左肘頭部の腫脹をきたす.レ線像にて同部に虫くい様骨破壊像をみとむ.また,表在性リンパ節腫あり,白血球増多,血沈亢進,CRP(⧻),GOT,GPT値およびLDH値上昇.皮疹の組織では,種々の核形を示す大きな核と明るい胞体を有する細網組織球様細胞が,真皮全層と一部表皮内に著明に浸潤,増殖し,所により多数の多核巨細胞を混じており,リンパ節はreticulum cell sarcomaの所見を示した.VEMP療法にて一時非常に軽快したが,7月より発熱,食欲不振,悪液質をきたし,9月末イレウスを併発して死亡した.本例では,本症の本態として従来いわれているような組織球性細胞の反応性増殖症の域を逸脱し,細網組織球系細胞の腫瘍性増殖がみられた点で興味ある症例と思われる.

いわゆる皮膚混合腫瘍の1例

著者: 石原紘 ,   出来尾哲 ,   森安昌治郎

ページ範囲:P.299 - P.303

 73歳,男子の眉間部に発生したエックリン汗器管系由来の腫瘍と推定される"いわゆる皮膚混合腫瘍"の1症例について報告し,合わせて臨床的事項,病理組織所見,電子顕微鏡所見および病理発生,組織診断名などに分けて文献的に考察した.

Klippel-Weber症候群の1例—特にその発症機序について

著者: 島田義昌 ,   向井秀樹 ,   増沢幹男 ,   太田美津子

ページ範囲:P.305 - P.310

 Klippel-Weber症候群に,動脈硬化,心筋梗塞,心動脈瘤,腹部大動脈瘤,痔核,腎臓血管腫,硬膜下血腫,椎骨脳底動脈系不全,クリオフィブリノーゲン血症など,多彩なる循環器系疾患を合併した1例を経験したのでこれを報告し,あわせて,本症候群やこれら合併症の発症機序について若干の考察を加えた.

Nodular Hidradenoma—Clear Cell Type

著者: 下重孝子 ,   島田義昌

ページ範囲:P.311 - P.315

 60歳主婦.4年前に,鼻背に単発する結節が出現し,漸次増大し,小指頭大,半球状に隆起する硬い腫瘤となる.病理組織学的所見にて,真皮中層下層にかけて,腫瘍塊が認められる.構成細胞は,Clear cell,類表皮細胞,筋上皮細胞であるが,Clear cellが主であり,多数の管腔構造を作る傾向があつた.また,腫瘍塊の中央部では,無構造なヒアリン様物質が認められ,角化傾向が著しい.この腫瘍を,Nodular hidrodenomaの中のいわゆるClear cell typeと診断した.

有茎性悪性黒色腫の1例

著者: 小菅正規 ,   大滝倫子

ページ範囲:P.317 - P.319

 71歳,女子の右腋窩に生じた有茎性悪性黒色腫の1例について報告した.悪性黒色腫が有茎性となることはむしろまれで,しかも血管拡張性肉芽腫,線維腫,老人性疣贅,Bloch良性非母斑性黒色上皮腫,汗器官腫瘍といつた良性腫瘍に酷似することも多いため,その診断には注意を要する.自験例を含めた現在までの症例報告8例について上述の点に関する若干の考察を行なつた.

Nevoid Basal Cell Epithelioma Syndrome(第3報)—母斑細胞母斑のHistopathogenesis

著者: 新井春枝

ページ範囲:P.321 - P.325

 母斑性基底細胞上皮腫症候群に神経節由来の母斑が多数みとめられたので,病理組織学的に検討した.
 Blue nevus,lentigo simplex,nevus incipiens compound nevusおよびintradermal nevusが組織学的所見としてみられた.

宮崎肺吸虫迷入例と思われる1症例について

著者: 水野英彦 ,   伊藤洋一 ,   柳沢十四男

ページ範囲:P.327 - P.330

 著者らは昭和51年8月25日稲田登戸病院皮膚科を受診した26歳男子の右上腹壁皮下脂肪肉芽腫を剔出した際,肺吸虫類と思われる虫体一体を発見した.既往歴及び臨床経過,患者の食性の問診と併行して病理組織学的検査と虫体の検索並びに免疫血清学的検査を行い追跡調査中であるが,これまでの検査結果から宮崎肺吸虫症の迷入例と診断したので報告する.

追悼

田村 一 先生

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.332 - P.333

田村一先生追悼の辞
 今年(昭和52年)の1月28日は"臨床皮膚科"の編集会議を行なうことに予定されていた.この会議は,毎月1回ずつ,編集同人の4名(慶応大学の籏野倫教授,昭和大学の橋本謙教授,新潟大学の佐藤良夫教授と帝京大学のわたし)に差しつかえのない日を予め定めておいて集るのである.1月28日はその日に当たつていたので,わたしは定時である午後5時より少し前に,本郷の医学書院本館に着き,会場である会議室の椅子に腰をおろしたところであつた.
 集ることになつている編集同人4名のうち,わたしは少し早めに定席に着き,やがて橋本教授と佐藤教授とが現われた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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