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原著
血管脂肪腫18例の臨床病理学的検討
著者: 田中雅祐1 居村洋1 檜沢一夫2
所属機関: 1徳島大学医学部皮膚科学教室 2徳島大学医学部病理学教室第一講座
ページ範囲:P.381 - P.386
文献購入ページに移動患者は男性に多く,初回摘出時の年齢は32〜76歳(平均52.2歳)であり,単発が3例,多発が15例であつた.腫瘤の数が最も多かつた1例では21個をかぞえ,7例で9〜16個を有した.
腫瘍は上肢とくに前腕と躯幹に好発し,頭頸部,下肢にはみられなかつた.摘出腫瘤は1例をのぞき楕円形を呈し,大多数が母指頭大(長径2cm)以下(大豆大以下8,指頭大8,母指頭大5個)であり,2個のみがくるみ大であつた.
腫瘍組織は脂肪腫の成分に加えて種々の割合に血管腫様成分を含むが,後者は量的には少なく,主に腫瘍の辺縁に存在した.全例にうっ血があり,また血栓が多数例でみられた.
血管脂肪腫は脂肪腫と診断されたものの約10%をしめ,稀なものではない.本腫瘍は組織像だけでなく,発生年齢,性別,発生部位,多発傾向,腫瘤が小さいことなどの臨床的な所見からみても一般の脂肪腫とは別のものとみなしたい.
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