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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科31巻6号

1977年06月発行

文献概要

原著

自己免疫性溶血性貧血,血小板減少を合併したProgressive Systemic Sclerosis

著者: 北村啓次郎1 菅原信1 生富公明1 籏野倫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.433 - P.439

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 約9カ月の経過で急激に発症,死亡した定型的全身性強皮症(PSS)で,経過中著明な貧血と血小板減少を合併したが,これら血液学的異常はプレドニゾロン(以下PSL)と6—メルカプトプリン(以下6MP)投与により寛解せしめた1例を記載した.貧血は溶血性貧血でクームス直接法陽性により自己免疫性溶血性貧血と診断した.
 血液学的には経過良好であつたが,強皮症は進行性で肺機能障害,腎機能障害も加わり,末期には感染症(GNB)に出血(食道潰瘍より)が加わり死亡した.剖検ではほぼ全身に強皮症性変化が認められ,間質性肺炎,食道粘膜潰瘍よりの出血が直接死因と考えられた.
 強皮症に自己免疫性溶血性貧血および血小板減少症の合併した例すなわちEvans症候群1)を合併したPSSは極めて稀であり,強皮症の患者を扱うことの多い皮膚科医にとつて,かかる稀有例の存在を知る必要があると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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