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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科31巻8号

1977年08月発行

雑誌目次

図譜・418

Cutaneous Myxoid Cyst

著者: 木村恭一 ,   白井求

ページ範囲:P.586 - P.587

患者 70歳,男子
初診 昭和50年12月23日

原著

クリプトコックス髄膜炎を併発した皮膚細網症

著者: 北村啓次郎 ,   原田敬之 ,   菅原信 ,   籏野倫

ページ範囲:P.589 - P.597

 四肢の皮下硬結で50年7月30日来院,生検にて皮膚細網症と診断した例を報告した.経過中皮疹増悪傾向あり,デルモパン,PSL,抗腫瘍剤を単独または併用し,皮疹は消褪したが,51年1月右肺に小円形異常陰影生じ漸増.2月腰椎病的骨折を認め,これらを皮膚悪性細網症の浸潤によると考え,3月よりCBPP療法開始.一時小康状態をえたが,4月髄膜刺激症状生じ,髄液中に胞子発見,Cryptococcus neoformans と同定した.そこでCBPP療法中止し,4月22日より5—FC 1日10.5g総量374.5g,アンフォテリシンB (AMPH)1日20mg総量362mgの併用で経過をみたところ,6月に入り急激な肝機能障害を呈し,21日死亡した.細網症の治療中のクリプトコックス髄膜炎の合併は稀でないが,生前に診断しうることは比較的稀である.また直接死因と考えられた肝不全は,5—FCまたはAMPHの副作用とするより末期に併発したビールス性亜急性肝萎縮によるとした.さらにクリプトコックス症に対する5—FCの有効性を考察した.

Blue Rubber-Bleb Nevus SyndromeとMultiple Glomus Tumor

著者: 玉置邦彦

ページ範囲:P.599 - P.603

 46歳の母親にBlue Rubber-Bleb Nevus Syndrome,20歳の娘にMultiple GlomusTumorがみられた一家系について述べ,両疾患の遺伝性について文献的に考察し,各症例についての組織学的な診断が重要であることを強調した.

Warty dyskeratoma

著者: 中野和子

ページ範囲:P.605 - P.608

 74歳,女性の右手背部拇指側にみられたwarty dyskeratoma の症例を報告した.
 皮疹は10×12×2mm大,弾性硬の黒褐色腫瘍で,組織学的には表皮に著明な角質増殖があり,その底部では基底層直上部に裂隙を生じ,この裂隙には絨毛の突出を見,また棘融解をおこしたacantholytic cellと共に良性異常角化を示すdyskeratotic cellが多数みられた.本腫瘍と毛包との関係は認められなかつた.以上よりwarty dyskeratomaと診断した.本症はDarier病との関係,またDarier型角化異常を伴う老人性角化腫との異同が問題となる.しかし臨床的に単発で孤立性に生ずる腫瘍でDarier病とは異なり,また組織学的に良性異常角化で悪性の変化がみられないことより,老人性角化腫とも異なつた1つの独立疾患と考えられる.

原発性膿皮症様アスペルギルス症の1例

著者: 笠井達也 ,   三浦幹枝 ,   関口博史 ,   並木恒夫

ページ範囲:P.611 - P.616

 8歳1カ月女児.急性骨髄性白血病にて入院加療中,前後14日間にわたり,翼状針を固定,包帯して持続点滴せる右腕関節部伸側に小膿疱が帯状に密集,融合し,小潰瘍を混じた局面を形成.初診時には診断は困難で,生検により,真皮内膿瘍の中央に球状に発育した菌糸塊を認め,その後の鏡検,培養によりAspergillus fumigatusを分離した.本症例においては,長期間の包帯下というギプス包帯にも比すべき条件を考慮すれば,発症の状態,臨床像ならびに組織所見は,近年福代教授が提唱された原発性膿皮症様アスペルギルス症の概念に一致するものである.本病型の皮膚アスペルギルス症は,本報告例を含めてこれまでに15例を数えるが,自然治癒傾向のあるところから,看過され易いものと考えられる.なお,本症例は白血病の悪化により,局所の治癒にいたらぬうちに死亡したので,その剖検所見をも併せて報告した.

食パン摂取によつて誘発された水疱性類天疱瘡の1例

著者: 西岡清 ,   橋本公二 ,   吉川章彦

ページ範囲:P.617 - P.620

 58歳女性,全身にわたる水疱形成を主訴として来院し,皮膚生検にて表皮下水疱の形成を認め,螢光抗体間接法にて,抗基底膜部抗体を証明し,類天疱瘡と診断した.副腎皮質ホルモン投与によく反応したが,経過中,食パン摂取により皮疹の再燃を見,皮内テストにて,小麦粉とイーストに陽性反応を認めた.

多発性骨髄腫に伴う全身性アミロイドーシス

著者: 喜多野征夫 ,   遠藤秀彦

ページ範囲:P.621 - P.626

 多発性骨髄腫に伴う全身性アミロイドーシスの1例を報告した.本症例は関節痛を初発症状とし,その経過中に丘疹,腫瘤,巨大舌,出血斑,強皮症様皮膚硬化と多彩な皮膚症状が現われた.尿中に多量の蛋白が排出され,Bence-Jones蛋白陽性で,M成分が認められ,そのM成分はλ—light chainのdimerであつた.骨髄穿刺によつて骨髄腫が証明された.皮膚の丘疹と舌の腫瘤に多量のアミロイドの沈着を認めた.アミロイドはcongo red染色,thioflavin T染色と電顕によつて同定された.全身性アミロイドーシスの皮膚症状と本邦報告例について若干の文献的考察を行つた.

テグレトールによる薬疹の2例

著者: 浮田政子 ,   吉田彦太郎 ,   西本正賢

ページ範囲:P.627 - P.632

要約 テグレトールによる紅皮症,剥脱性皮膚炎型の薬疹2例(31歳男,13歳男)を報告した.
第1例は貼布試験およびskin-window法により,他の1例はskin-window法と内服誘発試験により原因薬物がテグレトールであることが確認された.
いずれの症例もきわめて慢性の経過をたどり,副腎皮質ホルモン剤の内服,外用による治療はかならずしも経過を短縮させる上で役に立つたとは考えられなかつた.また2例とも経過中に難治性の癤の多発をみた.

毛孔性紅色粃糠疹の6例—特にその経過と治療に関する考察

著者: 西本正賢 ,   荒田次郎 ,   洲脇正雄

ページ範囲:P.633 - P.638

 親子例を含め毛孔性紅色粃糠疹6例の経過を追跡した.familial typeと思われる親子例では一時的に症状の改善はあつたものの皮疹はほぼ固定化して軽快傾向は見られなかつた.一方,adult typeと思われる4例のうち1例では約7カ月の経過で皮疹は消褪し以後再発なく,他の3例でも1〜3年の経過で皮疹の軽快傾向が認められた.
 0.1%ビタミンA酸吸水軟膏の外用にて2例に,ステロイドクリーム外用にて1例に著効をみたが,いずれも外用中止によつて皮疹の再燃を来した.

Solitary lichen planus-like keratosis

著者: 木村俊次 ,   長島正治

ページ範囲:P.639 - P.643

 59歳女子.初診,昭和51年2月16日.主訴,左頬部の皮疹.現病歴,4,5年来同部に「しみ」があり,3週間くらい前から発赤と軽度隆起とを伴つてきた.現在,左頬部ほぼ中央に1.0×0.9cm,類円形,淡赤褐色扁平隆起する角化性皮疹で,自覚症状を欠く.顔面には他に老人性色素斑が散在する.皮膚・粘膜に扁平苔癬なし.組織像は扁平苔癬のそれと区別できない,辺縁部にlentigo senilisの所見なし.電顕像も従来扁平苔癬について報告されているものとほぼ合致する.本症の位置づけおよび苔癬様の組織反応について若干考按し,本症を光線と関連した苔癬様組織反応とする説を支持した.

末梢血中に異常細胞の出現したMycosis fungoides d'embleeの1剖検例—本邦における電撃型菌状息肉症26例の文献的考察

著者: 松隂宏 ,   中久木和也 ,   河村幸郎 ,   浜口次生

ページ範囲:P.645 - P.653

 なんら前駆症状なく躯幹の多発性皮膚腫瘤で発症,約2年の経過後末梢血中に異常細胞が出現して死亡,剖検にて心,腎,肝,脳,脾,骨髄,リンパ節などを含む全身に浸潤が認められたMycosis fungoides d'embleeの33歳女子例を報告し,本邦に於ける電撃型菌状息肉症の例を文献的に検索した.その結果,50歳以下(21例)と腫瘍多発型(20例)が多く,短期間(平均13カ月)で死亡するなどの特徴があり,11剖検例では全例皮膚以外の臓器への浸潤が認められた.
 なお,Mycosis cellの発生起源に関する文献考察より,Mycosis fungoidesがTリンパ球由来の悪性リンパ腫に属することを論じ,本疾患とSezary症候群ならびにParapsoriasisとの関連性についても言及した.

悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎の2例

著者: 税田武三 ,   吉永愛子 ,   岡本喜雄 ,   緒方康博

ページ範囲:P.655 - P.662

 症例1は58歳男子,発熱,呼吸困難,嚥下困難,全身皮膚の潮紅落屑を主訴として入院,臨床的および組織学的検査により皮膚筋炎と診断した.胃透視および胃内視鏡にて胃癌が発見され,経鼻腔栄養,副腎皮質ホルモンおよびATPにより全身状態の改善を待つて胃切除術を行つた.胃癌摘出後は,副腎皮質ホルモン投与を行つていないが,筋力はしだいに回復し,皮膚の潮紅落屑もやや改善が認められた.その後経過順調で,現在経過観察中である.
 症例2は65歳男子,嚥下障害,発熱,全身倦怠感を主訴として入院,皮膚筋炎と診断した.食道上部および頸部リンパ節からの組織検査で扁平上皮癌を確認し,抗腫瘍剤,抗生物質等を投与するも一般状態の改善がみられず,嚥下性肺炎にて死亡した.
 以上悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎の2例につき報告すると共に,悪性腫瘍と皮膚筋炎との関係について文献的考察を行つた.

Lupus erythematosus profundusの1例

著者: 工藤忍 ,   永島敬士

ページ範囲:P.663 - P.669

 44歳男子の頭部,顔面にDLEに合併して生じたLupus erythematosus profundusKaposi-Irgangの症例を報告した.本例でも血沈軽度亢進,ANF陽性,好酸球増多などを伴なつたが,従来言われていたようにDLEに伴なつて発症するのみでなく,全身症状を伴なつたり,SLEを合併したりする症例が多い,30代以上の女性に多く,好発部位は顔面(頬部),上肢で,臀部を含めた躯幹にも見られるが,頭,頸,四肢には少ない.組織学的には,本症の病変主座は真皮深層から皮下脂肪織の結合織にあり,血管は病変の強い場合にはフィブリノイド変性を示し,表皮毛包の変化は二次的なものと推測した.

一頁講座

顔面皮膚カンジダ症

著者: 岩重毅 ,   滝口郁三 ,   斎藤真理子

ページ範囲:P.610 - P.610

 最近,痤瘡1),毛瘡2),毛包炎3)などのいわゆる異型皮膚カンジダ症の報告が散見されるようになつた.われわれもこの数例を経験しているが,このうちの2例を供覧して,参考に供したい.
 2例共に,第1にステロイド軟膏の使用により病巣が拡大するかあるいは悪化していること,第2に,口角の発疹から始まつていることである.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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