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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科31巻9号

1977年09月発行

原著

爪を侵襲した疥癬

著者: 猿田隆夫1 木村秀人1 大隈貞夫1 中溝慶生1

所属機関: 1九州大学温泉治療学研究所皮膚科教室

ページ範囲:P.731 - P.735

文献概要

 疥癬は元来,皮膚の軟かなところに発生するものであり,疥癬虫が爪を侵襲することはきわめて稀と思われる.著者らは疥癬虫の寄生によつて生じたと思われる爪の疥癬症例を経験した.
 患者は51歳女子.既往歴に糖尿病,貧血症などがある.昭和51年1月に当科を初診した際は,躯幹,手背,足背などに疥癬による皮疹があつた.51年8月の再来時には左第1趾爪に爪白癬様の肥厚混濁を認めた.このとき同時に躯幹には通常疥癬が存在していた.爪の混濁部から無数の疥癬虫および卵を検出し,同部の鱗屑の組織標本でも明らかに疥癬虫と卵が認められた.オイラックス軟膏の外用により約3カ月後,爪の肥厚は消失した.白癬菌は陰性であり治療経過からも疥癬虫が爪を侵襲したものと思われた.ノルウェー疥癬においては爪に疥癬の寄生する例は少数ながら報告されているが自験例のように通常疥癬があつて爪に疥癬の生じた報告は他にないようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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