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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科32巻1号

1978年01月発行

雑誌目次

図譜・423

乳頭腫様浮腫を呈した皮膚転移癌

著者: 大熊守也 ,   手塚正 ,   宮崎和広

ページ範囲:P.6 - P.7

患者 58歳,農夫
初診 昭和49年4月3日

原著

白皮症の3例—とくにDopa反応について

著者: 薗田紀江子 ,   長尾貞紀 ,   飯島進

ページ範囲:P.9 - P.16

 Oculocutaneous albinism 3例を経験した.毛球Dopa反応より症例1, 2はtyro—sinase positiveであり,症例3はtyrosinase negativeである.皮膚電顕Dopa反応を施行したところ,症例1はmelanocyte内のGolgi野,GERL及びstages I〜III melano—somesにtyrosinaseの活性を認めた.症例2ではわずかにstage III melanosomeに活性を認めた.この例は2年後,頭毛に黒色毛を混じ,日焼け現象もあり,加齢と共に色素が増加することが期待された.症例3ではいずれの部にも活性を認めなかつた.

Lupus Erythematosus Profundus

著者: 小川喜美子 ,   飯島正文 ,   紫芝敬子 ,   宮本正光 ,   吉田実夫

ページ範囲:P.17 - P.27

 Lupus erythematosus profundusの皮疹のみられた例(48歳女,23歳女)およびLupus erythematosus profundusを初発症状とし後にSLEとなつた例(30歳女)および精査で血清学的SLEが判明した例(36歳女)の計4例につき,臨床,組織にくわえ螢光抗体所見,透過および走査電顕所見につき報告した.
 また本症を3型に分け,若干の考按を行つた.

Pityriasis Lichenoides et Varioliformis Acutaの3例

著者: 石氏道夫 ,   三原一郎 ,   大関武 ,   細谷律子 ,   石氏澄子 ,   神田行雄

ページ範囲:P.29 - P.34

 ステロイドが奏効した42歳男性,DDSが奏効した38歳男性,セファロスポリンが奏効した27歳男性の3例のPityriasis lichenoides et varioliformis acutaを報告し,その組織学的所見,病因等を本邦報告例に関して文献的に考察し,われわれの本症に対する現時点での治療方針を略述した.

いわゆるMulticentric Pigmented Bowen's Diseaseについて

著者: 木村俊次 ,   長島正治

ページ範囲:P.35 - P.44

 1970年Lloydが報告したmulticentric pigmented Bowen's discaseの記載に一致する36歳女子,34歳男子,32歳女子,39歳女子の4例について報告した.前2例は電顕的にも検索した.また内外の報告例を集計し,それらの記載と今回経験した4例とに基いて,本症を臨床像とそのスペクトラム,組織像とそのスペクトラム,電顕像,治療および予後,鑑別診断,および病因と位置づけという各項目に分けてそれぞれ総括的に述べた.その結果本症が臨床的には1つの疾患単位であり,また病因的には尖圭コンジロームと近縁のものであろうと考えた.

Dermatofibrosarcoma Protuberans—2例の報告とその病因論について

著者: 北村啓次郎 ,   菅原信 ,   長島正治 ,   三方淳男

ページ範囲:P.45 - P.54

 40歳男,37歳男の各々右前胸部,左下腹部に生じ,組織学的にcartwheelあるいはstoriform patternの認められたDermatofibrosarcoma protuberansの定型例2例を記載した.
 本腫瘍細胞の由来を考えるため,自験例を電顕的,ならびに組織培養的に観察した結果,本症は真皮に迷芽性に潜在する骨膜性,筋膜性,腱鞘性,神経鞘性あるいは真皮性のfaculta—tive fibroblastから発生したものと推論した.またhistiocytoma, xanthoma, subepidermalnodular fibrosis (dermatofibroma)などをすべて組織球由来とし,その分化の方向が若干異つたものとして,これらをfibrous histiocytomaとまとめて考え,さらにdermatofibro—ma, Dermatofibrosarcoma protuberans,そしてfibrosarcomaの3疾患の間に1つの疾患スペクトルムがあるとする考えを興味あるものとして述べた.

隆起性皮膚線維肉腫—1自験例と本邦報告93例の集計

著者: 佐藤みち子 ,   沖田和男 ,   木村和郎 ,   大島良夫

ページ範囲:P.55 - P.60

 51歳の女性の後頭部に発生した小指頭大の隆起性皮膚線維肉腫の1症例を報告した.組織学的にはよく分化した線維肉腫の1型であり,切除後8カ月を経過した現在再発をみていない.
 自験例を加えた本邦報告例93例を集計し,臨床的観察を行つた.記載が明らかな男50例と女39例では男性が多く,青壮年期に初発している.好発部位は躯幹で61.8%. 46例に再発,8例に転移を認めた.発症してから受診までの期間は長く,5年以上を経過したものが43.2%であつた.

Congenital Multiple Haemangiomatosis

著者: 斎藤隆 ,   堀之内良英 ,   朝田康夫

ページ範囲:P.61 - P.64

 生下時より,ほぼ全身皮膚にわたり,大きさが小指頭大までの血管腫が多数存在した生後1カ月の男子例について記載した.

臍ポリープ(卵黄腸管遺残)の1例

著者: 伊勢信子 ,   斉藤隆三

ページ範囲:P.65 - P.69

 3歳女児.生後1カ月頃より臍部に鮮紅色腫瘤が認められた.米粒大,弾性硬,易出血性,表面は常に湿潤し粘液分泌物あり.組織学的に腸管粘膜を認め,卵黄腸管遺残の一型,即ち,臍ポリープと診断した.
 卵黄腸管遺残の本邦報告例は自験例を含めて48例ある.昭和30年以降の40例のうち,臍ポリープは3例.その臨床は鮮紅色腫瘤が特徴であるが,外国例では常色の1例があつた.消息子を通じ得る小孔が無いことは診断に際し重要である.酷似する臍肉芽腫との鑑別は組織学的所見にて胃腸管粘膜を見出だすことにより成される.確定診断後は合併する発生異常の有無を確かめるべきと考える.治療は切除であるが,合併症による消化管症状があれば外科的により広汎な切除が必要となる.

血管肉腫

著者: 本田まりこ ,   田村義龍 ,   伊藤義彦 ,   伊藤豪俊 ,   小山啓一郎 ,   平尾弓

ページ範囲:P.71 - P.77

 78歳,男の左頭頂部に発症し,約6カ月の経過で死亡した血管肉腫の1例を報告し,併せて血管肉腫の本邦報告例を集計し,特に頭部顔面に発症した例を主として述べた.

乳頭部に生じた単発性陰部平滑筋腫

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.79 - P.82

要約 43歳男子右乳頭基部に4,5年来みられた単発性陰部平滑筋腫の症例.小豆大,半球状,淡赤褐色,表面平滑な小結節で,ときに瘙痒あり.組織学的にエオジン好性,マロリーで赤染,ワンギーソンで黄染,PTAHで青染する線維の増生あり.横断像ではSonnenfigurをみる.これは下部の正常平滑筋束と連続性を有する.鍍銀染色では嗜銀線維がこれらの線維を取り囲むように存在する.本症例は単発性陰部平滑筋腫の本邦第7例目,乳頭部発生例としては第2例目である.本症例を含め,計11例の乳頭あるいは乳暈部発生例についても概観した.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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