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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科32巻10号

1978年10月発行

文献概要

原著

Postoperative Alopeciaについて

著者: 和泉秀彦1 常田順子1 兼松勲1 森俊二1

所属機関: 1岐阜大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.865 - P.870

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 最近5年間に岐阜大学皮膚科において経験した,手術後に限局性脱毛症を生じたpostoperative alopeciaと考えられる18例について,その臨床像の特徴をまとめて報告した.9例は慢性中耳炎と関係し,根治術または鼓室形成術を行った患者で,長時間の手術時間を要した後,2日後から14日後迄の間に手術側(患耳)と反対側の側頭部に脱毛巣を生じた.他の9例は外科や産婦人科などで長時間の手術の行われた患者の後頭部に脱毛巣の形成をみた.脱毛を生ずる前にしびれ感,異和感など局所の前駆症を伴う事もあるが,大部分は突然に脱毛巣が生じている.形は三角,扇形および帯状など不定形で,円形に生ずる事は少ない.経過は大部分が1〜2カ月の内に,長いもので5カ月で治癒した.原因の一端として一定体位で長時間枕,ベッド等で圧迫を受けたため局所の阻血,循環障害をきたし,ひいては毛根の退行期への移行を早めたものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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