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原著
著明な肺病変を伴った菌状息肉症
著者: 北村啓次郎1 籏野倫1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.909 - P.916
文献購入ページに移動 39歳男,淡紅色腫瘤で初発し,初診時乾癬様の浸潤性紅斑が多発,かかる皮疹が一進一退をくり返しつつリンパ節腫大,肺内腫瘤の併発へと進展し,全身症状も生じたため多剤併用化学療法(CVPP, MVPP療法)を用い一時軽快せしめた.しかしその後皮疹,リンパ節腫,肺内病変いずれも寛解増悪を繰り返し,約6.5年の経過で死亡した菌状息肉症の1例を記載した.本例の特徴はX-P上,左肺門影の腫大に始まり,肺内coin lesionさらに肺内腫瘤および縦隔リンパ節腫瘤影が,治療により皮疹,表在リンパ節腫と共に消長した点にあった.これら胸部異常影の本体は生検で確認しえなかったが.臨床的に本症に特異なものと考えた.菌状息肉症の肺病変は剖検で時にみられるが,生前に発見されるのは比較的稀である.また内臓病変を伴った本症の予後は悪いとされているが,早期発見に努力し,強力な治療(特に強化維持療法の工夫が大切)にふみ切れば望みなしとはいえぬと考えられた.
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