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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科32巻12号

1978年12月発行

雑誌目次

図譜・434

Solitary Reticulohistiocytosis

著者: 松田光司 ,   川津智是

ページ範囲:P.998 - P.999

患者 17歳,男子.学生
初診 1976年12月21日

原著

Sjogren症候群の1例—Banti症候群及びPrurigo melanoticaに続発し,鞏皮症を併発せる例

著者: 加茂紘一郎

ページ範囲:P.1001 - P.1008

 35歳,主婦.昭和47年より,Banti症候群及びそれに由来するPrurigo melanoticaの治療中,昭和52年6月,急性膵炎を主訴としてSjogren症候群発症.また同年10月,鞏皮症の併発した症例である.自験例は,膵炎を主訴としたSjogren症候群で鞏皮症が併発したこと,さらに一見正常な皮膚の汗腺が,従来の記載と異なる組織学的変化をとること,それらの基盤にBanti症候群がありPrurigo melanoticaが先行していること等,臨床的・組織学的また病因論的に興味ある例として報告した.

種々の色素斑を混じた巨大な扁平母斑とエプスタイン心奇形の合併例

著者: 堀真 ,   里見行義 ,   柳沢一明 ,   今村甲

ページ範囲:P.1011 - P.1015

 4歳女児の右側背部から右肩,右上腕,右側胸部に巨大な扁平母斑とその中に青色母斑および複合母斑が混在する稀有な症例について報告した.なお症例はEbstein心奇形があり,さらに,家族歴にフェニールケトン尿症がみられ,症例の家系には,非常につよい遺伝子レベルの奇形が生じやすい背景があったのではないかと考えられた.
 今後,レックリングハウゼン母斑症,悪性腫瘍の発生の可能性も含めて,経過観察の予定である.

関節痛,末梢神経原性筋萎縮を合併した毛孔性紅色粃糠疹の1例—第1報

著者: 谷垣武彦 ,   渡辺信一郎 ,   遠藤秀彦

ページ範囲:P.1017 - P.1023

 19歳,男子.約3年来,毛孔性紅色粃糠疹(Pityriasis rubra pilaris.以下PRPと略)で経過を観察していたところ皮疹悪化とともに,関節炎,神経原性筋萎縮と手指趾の変形を合併してきた.1973年Aquilarらが62歳女性について同様の症例を報告しているが,歩行困難,赤沈亢進,γ—glb増加,手指の変形が共通していた.著者らの症例は,さらにANF(+),alk. P. tase α1増加,筋原性筋萎縮ではなくて神経原性筋萎縮であった.PRPとこれらの症状とは,何らかの関係を示唆していると考えられる興味ある症例なので,免疫検索とともにここに報告した.

関節症状を伴った乾癬の1例

著者: 多島新吾

ページ範囲:P.1027 - P.1031

 72歳,女子.慢性関節リウマチとは断定できなかった関節症状を伴う乾癬の1例を報告した.Psoriasis arthropathicaを1つのclinical entityと考える立場を肯定した.いくつかの諸外国の本疾患の定義及び症例を紹介し,ついで,本邦報告例82例をまとめ本邦での特徴をまとめた.そしてこの特徴をいくつか満足し,慢性関節リウマチなどの性格のはっきりした関節炎以外の関節症状を有するものをPsoriasis arthropathicaと定義づけ,自験例を検討した.

5-Fluorocytosineによる薬疹をみたChromomycosisの1例

著者: 岩田忠俊 ,   戸沢孝之 ,   三田昌宏 ,   石氏道夫 ,   伊藤義彦 ,   青野公英

ページ範囲:P.1033 - P.1038

 約10年前に発症した,58歳,男性,農夫の右大腿部前面と右下腿部前面〜後面にわたる広範囲の病巣を持つChromomycosisの1例に5-Fluorocytosine(5-FC)を1日10g(172mg/kg),28日間経口投与したところ(投与総量275g),皮疹の著明なる扁平化をみるも,投与後第28日目に全身に5-FCによると推定される中毒性紅斑の出現と発熱をみ,内服を中止し温浴療法と白金カイロによる局所持続温熱療法の併用を試みるも,病変部よりの再発徴候がみられた.

Sweet病の1例

著者: 福原俊子 ,   清水弥生 ,   内田博子 ,   千葉紀子 ,   下田祥由

ページ範囲:P.1039 - P.1043

 Sweet病の病因に関してはいまだ不明であるが,従来より細菌性因子に対する過敏性反応が指摘されている.著者らは50歳,女子のSweet病の1例を報告し,また細菌抗原の皮内反応を行い,Streptococcus viridansの注射部位に一致して発赤・腫脹をみとめ,組織学的にも本症類似の所見を得た.これらの結果から本症の病因としてStreptococcus vir—idansに対する免疫反応と考えた.

アミロイド苔癬—11年間の統計を含めて

著者: 平井昭男 ,   北村啓次郎

ページ範囲:P.1045 - P.1052

要約 77歳,男性,四肢の瘙痒性皮疹で来院.臨床および組織学的にアミロイド苔癬(LA)と診断し,ステロイド剤外用にて軽快するも,治療を中止したところ再燃した定型例を報告した.さらに昭和42年〜52年までの11年間に組織学的にLAと診断された慶大例35例,済生会中央病院例3例,計38例について臨床統計的観察を行い,慶大例35例については病理組織学的観察も行った.その結果,LAは近年漸増し男女比では,老年男子の四肢には丘疹型が多く,中年女子の背部には色素沈着型が多かった.合併症は湿疹類が多く,続発性皮膚アミロイド症と思われるものも見られた.組織学的には,アミロイド沈着に伴う表皮の二次的変化として,過角化,角層内球状異常角化,顆粒層肥厚,有棘層内異常角化細胞を,真皮アミロイド沈着部及びその周囲の変化として,裂隙形成,大型単核細胞の浸潤,豊富な好銀線維,色素失調などを高率に認めた.

Perifollicular Fibromaの1例

著者: 内田博子 ,   千葉紀子 ,   福原俊子 ,   下田祥由 ,   関建次郎

ページ範囲:P.1053 - P.1056

 患者22歳女子.5,6歳頃より右頬部に直径3×3mmの孤立性の赤褐色の半球状に隆起した小結節が出現し,切除を希望,昭和52年1月当科を受診,単純切除を行った.拡大傾向(−).自覚症状(−).組織学的所見:腫瘍巣は被膜を欠き,真皮上層は浮腫状を呈し,その下に,特有な毛包周囲に層状の同心円状の配列を呈する膠原線維増殖が認められる.その中に幼若な毛細血管が少数混在する.以上の臨床所見,発症部位,組織学的所見から,1960年Zackheimらの提唱するPerifollicular fibromaに該当すると考えられる.組織学的には,Angiofibroma, Fibrous papules of the noseなどと類似しており,その組織発生に関しては,true nevoid condition又は毛包の炎症に対するfibroblastic responseなどが推測されている.多発性のものでは大腸ポリポージスの合併などがあり,種々の問題点が残されている.現在までの報告例,文献考察を加えてここに報告する.

著明な爪変形を伴った爪下グロムス腫瘍

著者: 木村俊次 ,   長島正治

ページ範囲:P.1057 - P.1064

 52歳家婦右拇指爪下に生じ,著明な爪変形と軽度の骨変化とを伴った単発性グロムス腫瘍の例を報告した.また自験例も含めて,本邦における爪下グロムス腫瘍の67例を集計し,爪変形と骨変化とに注目した.すなわち爪変形の有無については記載のある38例中22例に何らかの変形がみられたが,膨隆および縦裂が比較的多くみられた.また骨変化の有無については記載のある26例中19例に何らかの変化がみられたが,侵蝕像・陥凹像・硬化像の順に多かった.爪変形の有無に拘らず,病歴および臨床症状から診断可能であることを指摘した.

乳房外(肛門周囲)Paget病の1例

著者: 村尾烈 ,   藤田琢二

ページ範囲:P.1065 - P.1069

要約 80歳,男性.8年前より肛門周囲に湿疹様病変があり瘙痒感があったが放置していた.肛門左側1時から7時の範囲に4.5×7cmの紅斑があり同時に内痔核を認めた.内痔核の手術後紅斑部の広範囲切除を行った.術後6カ月再発はみられない.
病理組織所見:Paget細胞は主として表皮基底層に胞巣状に増殖しているが基底膜を越えて増殖している部位や汗腺導管にそって深部へ及んでいる部位があった.Paget細胞は直腸円柱上皮層には波及していなかった.電顕所見ではPaget細胞間及び細胞と有棘細胞間に小さなデスモゾームの形成がみられた.Paget細胞の細胞質には少量のフィラメントが存在し,メラニン顆粒も認められた.少数の細胞にはmicrovilliが存在した.
以上の症例を報告し,主としてPaget細胞の由来に関する文献的考察を記述した.

長い経過を経て癌化した尖圭コンジロームの1例

著者: 谷垣武彦 ,   遠藤秀彦

ページ範囲:P.1071 - P.1074

 43歳男子の亀頭に20数年前から発生した尖圭コンジローム例で,電気焼灼および切除するも再発をくりかえし,緩慢な経過を経て,漸次Malignant condyloma,最終的には,尿道侵襲,排尿障害をきたし組織学的には悪性像を呈したので,陰茎切断術を施行した.その間転移像はなく,遅い発育,頻発な再発をきたす点も,口腔外科領域に報告の多いVerrucous carcinomaと呼ばれる疾患に酷似し,両者を同一疾患と考えたい.

薬剤

乳酸エチル製剤(SA Pad)による尋常性痤瘡の局所療法

著者: 伊藤雅章 ,   佐藤良夫 ,   山本綾子

ページ範囲:P.1077 - P.1082

 尋常性痤瘡(以下痤瘡と略)は日常ありふれた疾患であるとともに,第75回日本皮膚科学会総会のシンポジウムにもとりあげられたごとく,治療上「手をやく皮膚病」の1つである.本症の治療に関してはこれまで多くの記載がみられ,著者の1人佐藤も度々述べているところである1〜3)
 本症の外用薬として,本邦においてはクンメルフェルド液などの硫黄剤のほか,殺菌剤,抗生剤などが用いられているが,いずれもkeratolyticな効果,皮脂排出抑制を目的とするほか,殺菌,消炎作用を期待するものである.

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臨床皮膚科 第32巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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