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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科32巻2号

1978年02月発行

綜説

疣贅と免疫—特に扁平疣贅の炎症を伴う自然消褪現象を中心にして

著者: 田上八朗1

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.97 - P.102

文献概要

 多発した疣贅が突然あるいはたつた1回の治療で,短期間のうちに完全に消失してしまう不思議な現象に大抵の皮膚科医は出会つている.疣贅はヒトイボウイルス,human wart virus, humanpapilloma virus (HPV)によりひき起こされるウイルス性の乳頭腫で,多発性腫瘍の一斉消褪という点で,この現象は劇的である.
 HPVはDNAウイルスでpapova virusに属し,電子顕微鏡により皮膚の尋常性疣贅,足底疣贅,扁平疣贅のほか,粘膜の尖圭コンジロームや喉頭乳頭腫にも見いだされている.腫瘍の免疫がクローズアップされ出されるとともに,動物の腫瘍ウイルスの研究母体となつたウサギのShopepapilloma virusやサルのSV 40が同じpapovavirusに属しているため,人間の疣贅も注目されるに至つた.しかも,疣贅には有名な自然消褪の現象があるため,疣贅に関する免疫学的研究が,特にその自然消褪機序に焦点を合わせて,過去10年来盛んになつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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