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原著
肺癌を合併せるBowen病の1例—本邦合併例40例の集計
著者: 中村絹代12
所属機関: 1北里研究所附属病院皮膚科 2慶応義塾大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.477 - P.482
文献購入ページに移動 肺癌にて内科入院中の80歳男子の左大腿後面に,10年来存在したBowen病を見出したので,本邦報告例と合せて報告する.肺癌は放射線および抗癌剤治療にて,またBowen病は5FU軟膏ODTにて改善され,2年半後の現在も経過良好である.砒素に接触の既往はない.本邦におけるBowen病(癌)および内臓悪性腫瘍の合併例は40例に及び,これらのBowen病に対する頻度は10%前後と考えられる.合併内臓悪性腫瘍の内訳は,子宮の悪性腫瘍(37.5%)が最も多く,次いで胃癌(25%),肺癌(17.5%)であり,子宮悪性腫瘍の放射線治療後に発症した外陰部Bowen病の多いことも注目させられる.一般には,Bowen病は内臓悪性腫瘍の見出される平均6.26年前に発症していることが多いと推測されるため,Bowen病患者に対する長期間のfollow upが必要である旨を述べた.
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