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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科32巻7号

1978年07月発行

雑誌目次

図譜・429

Cutaneous Calculus

著者: 小菅正規 ,   広瀬至

ページ範囲:P.516 - P.517

患者 39歳,男
初診 昭和50年8月2日

綜説

皮膚疾患と免疫異常

著者: 内山光明

ページ範囲:P.519 - P.526

 近年免疫学の進歩発展によって生体の免疫機構の詳細が次第にあきらかにされつつあり,われわれが日常出あう疾患の多くは免疫,アレルギーによってその発病機序が説明されるか,その疾患に何らかの形で免疫機構が関与することがしられている.本稿においては,免疫について簡単に説明し,それとわれわれが日常とりあつかう皮膚科疾患とどのように結びつくか,それが診断治療にどのように役立つかをできれば解説したい.詳しいことはすぐれた綜説,成書1〜6)があるのでそれらを参考にされたい.非常に膨大なテーマであり,紙数の関係もあり,とても浅学菲才の筆者のなし得るところではないが,かえって免疫にあまり親しみをもたれない方々への何らかの手引きにでもなればと思い,あえて筆をとらしていただいた次第である.
 さて,免疫の定義は何であろうか.

一頁講座

Lymphostatic dermatopathy

著者: 大熊守也

ページ範囲:P.526 - P.526

 種々の皮膚組織の病的変化が原因不明のまま説明がつかずにそのまま忘れられてしまうことは少なからずあると思いますが,それをよく調べてみると実はリンパ浮腫の二次的皮膚変化であることを筆者はたびたび経験したので,皮膚科医がこの事柄に関して知識をもつことは臨床的な見地からも大切なことと思う.まず言葉の説明から始めると,lympho—statische Krankheitsbilderというのは,リンパ循環不全のある場合,各臓器に種々の病的変化がおこる,これをFoldiが表現するのに用いた言葉である.
 そこで,リンパ浮腫が長期に持続した場合,皮膚にどのような変化が生じるであろうか.

原著

胃切除によって確定診断しえた結節性動脈周囲炎の2例

著者: 吉井田美子

ページ範囲:P.527 - P.533

 四肢の感覚異常,関節症状を主訴とし,胃潰瘍の手術を行なって診断の確定した症例Ⅰ,下肢のシビレ,難聴,頭重感を主訴とし,胃癌の手術後診断された症例Ⅱの,胃切除によって胃壁小動脈に壊死性血管炎を認めた2例の結節性動脈周囲炎を報告する.本症の消化管罹患率は比較的高く,消化管の血管造影の診断的価値が見直されているが,それを裏付ける症例である.

いわゆる悪性関節リウマチの1例

著者: 行木弘真佐 ,   石川英一 ,   野口哲郎 ,   菊池幸雄

ページ範囲:P.535 - P.541

 6年来,慢性関節リウマチとして治療され,約9カ月前より顔面,躯幹,前腕などに蚕豆大の結節性紅斑様皮疹出現を繰返したあと,血性胸水貯留をみた31歳女子例を報告した.皮疹は組織学的に血管炎の像を呈し,他方リウマチ因子強陽性,手指,膝関節の関節腔の狭小化など慢性関節リウマチに一致する所見のみられたことから,Bevansのいう悪性関節リウマチの範疇に含まれるものと考えられる.胸水の貯留はデキサメサゾンに良く反応し軽快したが,関節症状はデキサメサゾンでは抑えきれず,ACTHの投与後改善をみた.なお,慢性関節リウマチの関節外症状および悪性関節リウマチと結節性動脈周囲炎との関連性につき文献的に考察した.

Angiolymphoid Hyperplasia with Eosinophilia

著者: 長尾洋 ,   高岩堯

ページ範囲:P.543 - P.548

 41歳男子右耳下部に生じたAngiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaの1例を報告し,reactive lymphoid hyperplasiaとの関連性について考えを述べた.

Behcet病に伴なった上大静脈症候群

著者: 菅原信 ,   山崎雄一郎 ,   西川武二 ,   北村啓次郎 ,   籏野倫

ページ範囲:P.549 - P.554

 34歳,男.顔面,頸部,前胸部の浮腫性腫大および項部,胸部の絞扼感を主訴として来院.臨床的に上大静脈症候群と診断し,その原因を検索した.肺腫瘍,縦隔腫瘍あるいは大動脈瘤など外部から上大静脈を圧迫する所見は全く認めなかったが,静脈造影の結果,上大静脈への血流は両側とも鎖骨下静脈部にて完全閉塞し,上大静脈は全く造影されなかった.一方,経過中に再発性口腔アフタ,多発性毛嚢炎,皮下血栓性静脈炎あるいは副睾丸炎などBehcet病を疑わしむる臨床症状が出現し,その診断基準に照らして疑い例の域を出ないものの,これまでの文献報告を併せ考え,自験例をBehcet病に伴なった血栓性静脈炎による上大静脈症候群と診断した.今後,眼症状,外陰部潰瘍の出現,皮膚症状,さらに食道静脈瘤破裂その他による消化管出血の予防に充分なる配慮を要すると思われる.

Livedo Reticularis with Summer Ulcerationsの1例

著者: 田代正昭 ,   岡部知洋 ,   吉井恵子 ,   鮫島利尚 ,   寺崎健

ページ範囲:P.555 - P.559

 47歳,女子のLivedo reticularis with summer ulcerationsの定型例を報告した.
 この症例は9年前より両側下肢に分枝状皮疹を生じ,4年前から左下腿外側に夏季に潰瘍形成を認め,冬季に軽快する.一般臨床検査には著変を認めず,組織学的に毛細血管拡張,小血管壁の肥厚,内皮細胞増殖,内腔閉塞ないし狭小化,血栓形成などがみられた.
 自験例を含めて本邦例6例の統計的観察を行うとともに,今後同様の症例を集積し,その病因,治療法を解明するとともに,その所属,病名についてあらためて検討する必要がある.

ウェルナー症候群の3例

著者: 松尾聿朗 ,   小澤明 ,   新妻寛 ,   高崎信三郎 ,   大城戸宗男 ,   福田宏明 ,   飯島邦仁 ,   田島知行

ページ範囲:P.561 - P.566

 53歳男,37歳男,45歳男のウェルナー症候群(WS)の3例を報告した.
 WSは,20歳台から老人様変化を呈すことから早老病症候群(premature ageing syndrome)の1つとする考えがあり,またin vitroでその皮膚線維芽細胞の継代培養可能回数は限度のあることも,その考えを支持するものであった.本論文では,本症と老化との関係,さらに患者の線維芽細胞継代培養可能代数が9代,14代,9代と正常のそれより短いため,その意義を若干検討した.また培養線維芽細胞を材料として得られた分子生物学的知見も紹介した.
 遺伝子にプログラムされたWS発症因子が,DNA複製→RNA→蛋白合成の系を経て,特有の臨床症状を示すことは推測されるが,その研究結果では,DNA複製レベルと酵素蛋白での異常が一部現在明らかになっている.

Sweet症候群—recurrent neutrophilic dermatosis of the face(Whittle)から移行した症例について

著者: 土屋喜久夫 ,   金子史男 ,   川岸郁朗 ,   三浦祐晶

ページ範囲:P.567 - P.573

 約13年間,recurrent neutrophilic dermatosis of the face(Whittle)の症状を繰り返していたが,発熱を伴って両上肢および躯幹に有痛性隆起性紅斑が出現し,Sweet症候群へと移行した44歳女性例を経験した.経時的な検査成績および組織学的変化を述べるとともに,病因論的に感染アレルギー説の立場から,細菌抗原に対する皮内反応および免疫学的諸検査を施行し,streptococcus群に対するhypersensitivityの存在を認め,文献的に考察した.

糖尿病患者にみられたMacular Amyloidosis

著者: 木村恭一 ,   大西泰憲 ,   三好康夫 ,   藤田甫 ,   白井求

ページ範囲:P.577 - P.583

 糖尿病患者の主に上背部にMacular Amyloidosisを合併したもの8例を経験した.
 この事実の意味について若干の問題点を挙げて考察を行った.

全頭脱毛症の1例—著明な好酸球増多と頭蓋内石灰化陰影を伴いスチーマー療法で全治した症例

著者: 戸田道子 ,   中山秀夫

ページ範囲:P.585 - P.591

 急激に発症進行し,全頭脱毛となった時点で25%に及ぶ好酸球増多とLigamentumpetroclinoidea付近の二条の石灰化を伴う全頭脱毛症の1例を報告した.ステロイド内服は無効であったが,自律神経中枢付近の神経変性に基づく毛のうの血流障害が毛のうの高度の萎縮をきたしたと考えられたので,単純に毛のう周囲の血行を促進する目的で,センブリエキス製剤の外用とスチーマー療法を行い全治した.同様の療法を難治性の脱毛症(自然治癒の多い数個以内の円型脱毛症を含まず)30例に施行したところ,1/3に有効,2/3にやや有効以上の効果をみた.上記30例の平均罹患期間は2.97年(SD:3.76年),平均治療期間は0.60年(SD 0.35年)であった.

膠原病(SLEの疑い)を合併したChromomycosis

著者: 蜂須賀裕志

ページ範囲:P.593 - P.597

 炭坑内での受傷後に発生したChromomycosisについて報告した.
 原因菌はFonsecaea pedrosoiであった.5FCを1日8g, 118日間投与し,皮疹は軽快した.しかしSLEを疑わせる膠原病を合併し,肺炎を合併し死亡した.なお本患者の分離株の5FCに対するMICは31.3γであった.

薬剤

Diflucortolone valerate軟膏(w/o型乳剤性基剤)の皮膚吸収による副腎皮質機能抑制の検討—0.25%Fluocortolone軟膏(w/o型乳剤性基剤)との比較を中心に

著者: 武田克之 ,   重見文雄 ,   白石聡 ,   原田種雄 ,   野本正志 ,   阪田和明

ページ範囲:P.599 - P.603

 皮膚科領域でcortisol誘導体の2.5%hydrocortisone acetate軟膏の臨床効果がはじめて認められてから(n/Sulzberger1),1952)25年余の間に,数多くのコルチコステロイド外用剤が開発・市販され,皮膚疾患の治療に欠かせない薬剤となっている.一般にコルチコステロイド剤の局所外用は全身投与に比較して副作用が少ないとされている.しかし近年,局所抗炎症作用のより強力なステロイドが次々と開発され,さらに外用法として密封包帯法(以下ODTと略記)が頻用されるようになってから,外用療法とて経皮吸収による全身への影響を否定できず,乱用をいましめる声もおきている.
 著者らは日本シェーリング社から0.1%diflucortolone valerate軟膏(W/O型乳剤性基剤)の提供を受け,そのODT外用が副腎皮質機能におよぼす影響を検討したので報告する(治験期間1975年11月〜1976年11月).

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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