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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科32巻7号

1978年07月発行

文献概要

原著

Behcet病に伴なった上大静脈症候群

著者: 菅原信1 山崎雄一郎1 西川武二1 北村啓次郎1 籏野倫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.549 - P.554

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 34歳,男.顔面,頸部,前胸部の浮腫性腫大および項部,胸部の絞扼感を主訴として来院.臨床的に上大静脈症候群と診断し,その原因を検索した.肺腫瘍,縦隔腫瘍あるいは大動脈瘤など外部から上大静脈を圧迫する所見は全く認めなかったが,静脈造影の結果,上大静脈への血流は両側とも鎖骨下静脈部にて完全閉塞し,上大静脈は全く造影されなかった.一方,経過中に再発性口腔アフタ,多発性毛嚢炎,皮下血栓性静脈炎あるいは副睾丸炎などBehcet病を疑わしむる臨床症状が出現し,その診断基準に照らして疑い例の域を出ないものの,これまでの文献報告を併せ考え,自験例をBehcet病に伴なった血栓性静脈炎による上大静脈症候群と診断した.今後,眼症状,外陰部潰瘍の出現,皮膚症状,さらに食道静脈瘤破裂その他による消化管出血の予防に充分なる配慮を要すると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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