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原著
原発性皮膚形質細胞腫の1例
著者: 滝野長平1 吉田正巳1
所属機関: 1九段坂病院皮膚科
ページ範囲:P.755 - P.759
文献購入ページに移動 71歳,女性.主訴は約2年を経過する右肩胛部の爪甲大および豌豆大の2結節.いずれも一見毛細血管拡張性肉芽腫様外観を呈した.組織学的には主病変は真皮上層より中層を占める稠密な細胞浸潤で,浸潤細胞のほとんどは形質細胞と同時に存在する細網ないし組織球様細胞との移行型と思われる細胞で,分裂像も散見された.また形質細胞には細胞や核のかなりの大小不同や多核のものもみられた.病巣内の間質はわずかで,血管形成も目立たなかった.一般検査ならびに骨のX線検査では多発性骨髄腫を思わせる所見なく,切除後3年7カ月を経る現在再発なく健康である.本例の位置づけとして形質細胞肉芽腫・cutaneo—us lymphoplasia (plasma cell type)およびいわゆる皮膚の随外性形質細胞腫に含まれるものなどとの関連について文献的に検討し,原発性皮膚形質細胞腫の範疇に入るもので,また結節は2個ではあるが多発型よりむしろ単発型に近い性格のものと考えた.
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