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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科33巻1号

1979年01月発行

文献概要

綜説

接触過敏症における抗原分布について

著者: 中川昌次郎1 谷奥喜平2

所属機関: 1川崎医科大学皮膚科教室 2東京医科大学皮膚科教室

ページ範囲:P.9 - P.17

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 免疫機構に関する研究は,近年目醒しい進歩を遂げ,それに伴って接触過敏症の成立機転も次第に明らかになってきた.しかしながら,いくつかの基本的な問題は,なお充分に解明されたとはいえない.その1つに抗原の問題がある.接触皮膚炎の原因物質の多くは比較的分子量が低く,化学構造が簡単な単純化学物質であるが,これが生体に入って抗体を産生する能力(抗原性)を獲得するには,蛋白質のような高分子の物質と化学的に結合(共有結合)することが必要である1).免疫学では,このような性格の物質を不完全抗原(ハプテン)といい,ハプテンと結合した高分子物質を担体,両者が結合して抗原性を獲得したものを完全抗原と呼んでいる.接触過敏症における抗原の問題は,ハプテンが生体内で如何なる担体と結合して完全抗原となり,そしてそれがどのような機序で接触過敏症を成立させ(感作過程の機構),感作が成立した後では接触皮膚炎を発現させるか(誘発過程の機構)ということである.この問題を解明するために古くから,単純化学物質を動物に投与した際の体内での分布が研究されてきた.体内に分布する単純化学物質は全てそのまま抗原としての役割をもつことにはならないが,その分布を詳細に観察することにより抗原の形成及び接触過敏症発現の機序を解明する有力な手がかりを得ることが出来る.ここでは,単純化学物質の体内分布を中心に述べ,それに他の研究成果を併せ検討することによって,上述した抗原の問題について考察したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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