原著
SLE様患者にみられたChronic Urticaria-Like Lesions
著者:
石井則久1
池澤善郎1
亀田洋1
中嶋弘1
丸山光雄2
所属機関:
1横浜市立大学医学部皮膚科学教室
2横浜船員保険病院皮膚科
ページ範囲:P.1067 - P.1073
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49歳,女性,顔面,上肢,躯幹に蕁麻疹様皮疹及びクインケ浮腫様皮疹が繰り返し出現.その他,経過中に発熱,腹痛,脱毛,関節痛,レイノー現象などもみられた.蕁麻疹様皮疹の病理組織学的所見は,主に真皮上層の核崩壊を伴う好中球浸潤であり,螢光抗体直接法によりIgGの沈着がbasement membrane zoneと真皮上層の血管壁に認められた.皮疹の増悪時には,白血球減少,低補体血症,抗核抗体高値(speckled pattern)を認めたが,ステロイド内服により症状の軽快と検査所見の改善をみた.自験例は,ARAのSLEcriteriaをかろうじて満たしたが,明瞭な多臓器病変が確認されず,definite SLEとするにはためらいがあった.自験例でみられた蕁麻疹様皮疹は,McDuffieらやMarderらの報告したhypocomplementemic vasculitis-urticarial syndrome (HVUS)の皮疹にも,O'Lou—ghlinらの言うSLEにおけるchronic urticaria-like lesionsにも,臨床的並びに病理学的にも一致することから,これらの症例と自験例との関連について若干の検討を加えた.