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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科33巻2号

1979年02月発行

雑誌目次

図譜・436

懸垂性線維腫を伴った隆起性皮膚線維肉腫

著者: 黒田昭 ,   酒井勝彦 ,   横山嘉洋

ページ範囲:P.102 - P.103

患者39歳,男性
初診昭和50年9月16日

綜説

小児の全身性ウイルス発疹症

著者: 朝田康夫

ページ範囲:P.105 - P.114

 ウイルス発疹症は近年のウイルス培養手技や血清学的診断法の発達によりその診断面にかなりの進歩がみられるが,これらの診断法もなおルーチンの域に達するには至っていない.したがって小児に好発する全身性ウイルス発疹症は,薬疹や細菌性の中毒反応ないしアレルギー反応,更に原因の充分解明されない川崎熱(MCLS)などとの鑑別において苦労することが多い.以下に臨床的な面から小児の全身性ウイルス発疹症の近年の問題点をとりあげて綜説を試みたい.

原著

Nevus Lipomatosus Cutaneus Superficialis,単発型の2例

著者: 宮本由美子 ,   前田基彰 ,   松原基夫 ,   中安清

ページ範囲:P.117 - P.122

 55歳男子の殿部,50歳男子の大腿部に発生した単発型のNevus lipomatosus cuta—neus superficialisの2例を報告した.また,統計的観察を行い,単発型のNevus lipomato—sus cutaneus superficialisには,Hoffmann-Zurhelle型の単発型とみなせる若年型と,主として40歳以上に発症し殿部に好発する晩発型があるのではないかと考えた.

単発型グロムス腫瘍の光顕的および電顕的観察

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.123 - P.132

 最近経験した単発性グロムス腫瘍の3例を組織学的,組織化学的および電顕的に観察した.組織学的にはいずれも本腫瘍の定型像を示し,組織化学的には浮腫性の間質に酸性粘液多糖類の増加を認めた.電顕的に腫瘍細胞は種々の形態および電子密度を示したが,いずれも微細構造は平滑筋細胞のそれに類似し,太さ50-70Aの細線維が豊富に認められ,また厚い基底板,いわゆるdense bodiesおよびattachment bodies,胞飲小胞なども多数認められた.一方,腫瘍間質には無髄神経,マスト細胞,成熟および幼若膠原線維が多数認められた他,zebra bodiesと呼ばれる周期性構造および形態的にいわゆるコロイド小体に類似する細線維塊が1例に見出された.これらについて若干の考察を加え,また本腫瘍の起源と位置づけ,および鑑別診断についても述べた.

多発性丘疹状毛嚢表皮腫に併発した皮膚円柱腫の1例

著者: 中浦優 ,   堀真

ページ範囲:P.133 - P.139

 58歳女性の顔面の多発性丘疹状毛嚢表皮腫および頭部に発生した皮膚円柱腫について報告した.顔面の丘疹は,光顕的に,大小の角質嚢腫を有するbasaloid cellからなる組織像をしめし,多発性丘疹状毛嚢表皮腫の典型像を呈していた.頭部腫瘤は,PAS陽性,ジアスターゼ抵抗性の硝子膜で胞巣状にとりかこまれた腫瘍細胞巣よりなり,電顕的に,腫瘍細胞はindeterminate cell,分泌細胞,基底細胞,角化性細胞の4種がみとめられた.indeterminate cellの細胞質には,硝子様物質がみられ,腫瘍細胞自体が硝子様物質を産生しうるものと推測された.本腫瘍の組織由来はアポクリン腺,エックリン腺のいずれとも決定できなかった.

Sezary症候群への移行の考えられた菌状息肉症の1例

著者: 井村真 ,   金本雄介 ,   戸田浄 ,   小菅正規

ページ範囲:P.141 - P.147

 菌状息肉症として加療中Sezary症候群の症状を呈した症例を約3年間経過観察し,あわせて末梢血,皮膚,リンパ節に出現した異型細胞に細胞学的検討を加えた.その結果,異型細胞は電顕的に脳回転状の核を有するT-cell由来の細胞であることが確認された.本症例は両疾患の密接な関係を示唆するように思われる.

免疫賦活療法の奏効した菌状息肉症の1例

著者: 森岡真治 ,   種田明生 ,   小川秀興 ,   須田耕一

ページ範囲:P.149 - P.154

 LevamisoleとOK—432による免疫賦活療法の奏効した菌状息肉症の1例を報告した.自験例ではステロイドは有効であったが糖尿病併発のため長期使用は不可能な状態であり,かつ他の各種化学療法剤には抵抗を示したため,Levamisole,OK—432による免疫賦活療法を施行した.その結果,臨床症状の劇的寛解を認めた.本治療後の病理組織学的検索では,異常増殖していた腫瘍細胞の消腿をみ,成熟した組織球の増加をみた.免疫学的検索ではリンパ球絶対数の増加,PHA刺激によるリンパ球幼若化反応の増強,CH50値の異常高値を認めたが,陰性であったツ反・DNCB Testについては治療開始60日後の寛解状態にある現在も陽転化をみない.LevamisoleおよびOK—432の正確な作用機序はまだ不明であるが,悪性腫瘍患者にこれらを用いた免疫賦活療法は今後期待がもてると思われる.

疥癬の統計的観察

著者: 甲原資秀 ,   佐藤則子 ,   木村俊次

ページ範囲:P.155 - P.159

要約 最近3年間に慶大皮膚科で経験された137例の疥癬症例について統計的観察を行なった.症例数は年々増加の傾向を示し(昭和50年6例,51年57例,52年74例),性比は4対1で男性に多く,年齢は1〜68歳にわたり20代にピークがみられた.確診例は107例,疑診例は30例であった.初診時診断は疥癬が大部分(126/137)であったが,急性湿疹,虫刺症,毛嚢炎などと疑診された例も少数みられた.家族内またはグループ,同僚内発生件数は各々24件,30件,計54件であった.海外旅行歴は23例に認められた.初診までの経過は1週から9ヵ月にわたったが,1〜3ヵ月が最多であった.臨床症状の特徴は1)指間の疥癬トンネル,2)陰嚢,亀頭に丘疹,小結節が好発,3)夜間の激しい瘙痒等成書記載の範囲を出ない.治療は主にクロタミトン含有軟膏を用いてかなりの有効率を認めたが,治療効果判定には2,3の問題点があり,これについて若干考察した.

ノルウェー疥癬の1例

著者: 三田昌宏 ,   岩田忠俊 ,   戸沢孝之 ,   金谷敏雄 ,   本田まり子 ,   小山啓一郎

ページ範囲:P.161 - P.165

要約 28歳男子,福島県いわき市在住.初診の1年前より,全身に瘙痒性の紅色丘疹出現,プレドニゾロン内服により,角質増殖が著るしくなり,ノルウェー疥癬に進展した.我々は自験例を報告するとともに,戦後,本邦で報告されたノルウェー疥癬例を集計し,若干の考察を加えた.

皮膚結節を伴った先天性白血病の1例

著者: 清水和子 ,   斎藤義雄 ,   石川英一

ページ範囲:P.167 - P.174

 生下時より頭部,顔面,肩,臀部,下肢に皮膚結節を認めた比較的稀な先天性白血病の女児例を報告した.Reimannらの報告以来初発症状としての皮膚結節の重要性が強調されている.本例皮疹については,生後2ヵ月において組織学的に確定したが,皮疹は臨床的に生下時より既に存在した.

連載 皮膚病理の電顕・2

皮膚結合織の病変(II)—一次性全身性アミロイド症(4)〜(6)

著者: 橋本健

ページ範囲:P.176 - P.180

一次性全身性アミロイド症(4)
 図4 本図は図1Aに示した患者の眼瞼皮膚である.この部分には臨床的にも著明なアミロイドの浸潤があり,凡ての変化が正常にみえる皮膚の病変より顕著であるのは当然である.
 図1C,Dで示した血管周辺部のアミロイド沈着を電顕でみると本図のようである.すなわち,細静脈の周囲を取り囲んでアミロイドの沈着が起こっている.拡大が大きいので弱拡大でみた時のように明瞭ではないが,アミロイドはやはり集塊(A)を形成して沈着し,決してdiffuseに拡散しているのではない.所々に残存した膠原線維(C)と,1コの弾力線維(E)の破片を除けば,血管周囲のスペースは完全にアミロイドによって置換されている.血管内皮細胞(E)の外側を取巻く基底板も数ヵ所(矢印)を除いて消失し,内皮細胞が直接アミロイドに接している.このような皮膚をつねるとpinch hemorrhageを起こすことは容易に想像できる.×15,000

これすぽんでんす

「強皮症および類縁疾患におけるIn-vivo bound immunoglobulinsと抗核抗体」を読んで,他

著者: 服部瑛

ページ範囲:P.181 - P.181

 近年,膠原病においては,臨床所見,血清免疫学的所見,病理組織所見等の知見が蓄積されるにつれ,各膠原病の鑑別が比較的容易になされるようになってきたが,それとともに各膠原病の重複や移行型あるいは不全型といった病像が認められ問題とされるようになってきた.この中で代表的なものが1972年,Sharpら1)の提唱したmixed connective tissue disease (MCTD)なる疾患概念であり,その場合,ことに抗RNP抗体価が問題になる.西川氏らは「強皮症および類縁疾患におけるIn—vivo bound immunoglobulinsと抗核抗体」(本誌,32(11);973,1978)の中でWinkelmannら2)のいうme—senchymal sclerodermaをとり上げ,皮膚科的な立場から診断する際都合がよいとしている.当科においても従来汎発性鞏皮症と考えられていた症例の一部に抗ENA抗体価からみてMCTDないしmesenchymal sclero—dermaと考えられる症例をみている3).西川氏らのme—senchymal sclerodermaで表皮細胞核あるいは基底膜に免疫グロブリンの沈着をみた事実は,さきにGilliamら4)も認めており,なお不明確である本症の鑑別,ひいては独立性に大きな意味をもってくるように考えられる.さらに氏らは,それら免疫グロブリンの沈着は抗RNP抗体と密接に関連しているという興味深い事実を示した.このことはGilliamら5),Prystowsky6)らによっても推定されていることであり,ribonuclease処理を含む比較的繁雑な方法で検出される抗RNP抗体が,生検皮膚の螢光抗体直接法で比較的容易に検出される可能性を示すとともに,かりに表皮細胞核に沈着する免疫グロブリンの主体が抗RNP抗体であるならば,そうした抗原部位の検索を通してMCTDないしその類縁疾患の発症機序を解明する手段となり得るものと思われる.しかしながら表皮細胞核と反応する抗RNP抗体の臨床的意義に関して,さらに詳細な検討が望まれる所である.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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