文献詳細
原著
文献概要
最近経験した単発性グロムス腫瘍の3例を組織学的,組織化学的および電顕的に観察した.組織学的にはいずれも本腫瘍の定型像を示し,組織化学的には浮腫性の間質に酸性粘液多糖類の増加を認めた.電顕的に腫瘍細胞は種々の形態および電子密度を示したが,いずれも微細構造は平滑筋細胞のそれに類似し,太さ50-70Aの細線維が豊富に認められ,また厚い基底板,いわゆるdense bodiesおよびattachment bodies,胞飲小胞なども多数認められた.一方,腫瘍間質には無髄神経,マスト細胞,成熟および幼若膠原線維が多数認められた他,zebra bodiesと呼ばれる周期性構造および形態的にいわゆるコロイド小体に類似する細線維塊が1例に見出された.これらについて若干の考察を加え,また本腫瘍の起源と位置づけ,および鑑別診断についても述べた.
掲載誌情報