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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科33巻3号

1979年03月発行

文献概要

綜説

Herpes Gestationis (妊娠性疱疹) I.

著者: 矢尾板英夫1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系

ページ範囲:P.197 - P.207

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 Herpes gestationis(HG)は妊娠中あるいは産褥期に起こる反復性の瘙痒の激烈で稀有な水疱性疾患である.ただし同様の症状が胞状奇胎あるいは悪性絨毛上皮腫に併発したという報告1〜3)もあるが,現時点ではHGかbullous pemphigoid(BP)か議論の分かれる所でもあり決定するには資料不足なので,本稿ではHG様の皮疹として扱うこととする.
 本疾患は1811年のBunel4)による報告が最初とされ,以来pemphigus gravidarum5),pemphiguspruriginosus6),herpes circinatus bullosus7),pemphigus hystericus8),dermatitis multiformis gestationis9),dermatite polymorphe bouloureuse recidivante de la grossesse10),dermatitis herpetiformis of pregnancy11)等として報告されてきた.Herpes gestationisは1872年Milton12)によって提唱された病名であり,Bulkley13)が症例を集めて,この病名のもとに1つのclinical entityとしたが,現在これが一般的である.前述の報告例に見る如く,pemphigusあるいはherpes等との関連を考えた時期もあったが,近くは妊娠と関連して起こったdermatitis herpetiformis DH)と考えるのが主流であった.Fox14),Montgomery15),Greenbaum16),Honeycutt et al. 11),Graham17)らはHGの皮疹および組織がDHのそれらと極めて類似しているとして,またDowning & Jillson18),Lewis19)らはSulfapyridine,Sulfathiasolが効果的であったとしてDH説を支持した.これに対し,SulfapyridineおよびDiaminodiphenylsulfone(DDS)が無効であるという報告も多く20〜22),HGとDHの異同に関しては臨床,組織以外の新しい研究結果が期待されていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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