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綜説
薬剤アレルギーの発症機構
著者: 村中正治1
所属機関: 1東京大学医学部物療内科
ページ範囲:P.467 - P.477
文献購入ページに移動 ウサギ,モルモットなどの実験用小動物に薬剤たとえばスルピリンあるいはペニシリンをくりかえし注射しても,ヒトにおいてみられるような薬剤アレルギーが誘発される可能性はゼロに近いと考えられてきた.この‘いいつたえ’の背景に,これらの薬剤を根気よく動物に注射してもアナフィラキシーショックなどの薬剤アレルギーを誘発しえなかった多くの実験成績があったことはいうまでもない.しかし,それ以外に,Landsteiner,Eisen, Benacerrafらにより確立されたパプテン・担体系(hapten-carrier系)の抗原性に関する基本的な原則を,薬剤はDNP化合物などと同じく純粋な化学物質で免疫学的にはハプテンであるはずという理由から,薬品のもつ抗原性についても無条件に拡大解釈していた事実を否定することはできない.
図1,図2はハプテン・担体系の抗原性に関する法則を図示したものである.ハプテンにはそのもの単独では動物に抗体を産生させる能力(免疫原性,immunogenicity)も,アレルギー症状を誘発させる能力(アレルギー原性,eliciting allergenicity)もない.蛋白質のような高分子化合物(担体,carrier)と化学的に共有結合のような強固な結合をしたときはじめて免疫原性もアレルギー原性ももつに至る.
図1,図2はハプテン・担体系の抗原性に関する法則を図示したものである.ハプテンにはそのもの単独では動物に抗体を産生させる能力(免疫原性,immunogenicity)も,アレルギー症状を誘発させる能力(アレルギー原性,eliciting allergenicity)もない.蛋白質のような高分子化合物(担体,carrier)と化学的に共有結合のような強固な結合をしたときはじめて免疫原性もアレルギー原性ももつに至る.
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