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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科34巻1号

1980年01月発行

原著

D-ペニシラミンにより惹起されたHerpetiform Pemphigus様皮膚病変

著者: 小川秀興1 森岡真治1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.39 - P.44

文献概要

 63歳女性,慢性関節リウマチ治療中D-ペニシラミン長期内服により天疱瘡様皮膚病変を生じたので報告した.臨床像は初診時ジューリング疱疹状皮膚炎様ないし多形滲出性紅斑様を呈したが,免疫・組織学的には尋常性天疱瘡の所見と一致した.その臨床像からMarsdenらにならいherpetiform pemphigus様皮膚病変として記載しておきたい.水疱は,組織学的に棘融解像を伴った表皮内水疱で,螢光抗体法直接法で病変部表皮細胞膜(間)にIgG,C3の沈着を認めた.流血中の抗表皮細胞膜(間)抗体は5〜10倍と低値ながら陽性であった.自験例では,螢光抗体法自家間接法にて初めて抗核抗体(抗体価40倍)を検出し得たことと,天疱瘡様抗体価160倍以上の高値を示したことは極めて興味深い.D-ペニシラミンの化学構造,特性および表皮における-SH基,-S-S-結合の挙動分布,更には天疱瘡抗原の性状等を考え併せ,本剤による天疱瘡様皮膚病変の発症機序についての考察を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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