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原著
興味ある組織像を呈した汗器官腫瘍の1例
著者: 村木良一1 栗原誠一1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.941 - P.946
文献購入ページに移動 78歳女子の下口唇に生じた直径9mm,中心部に潰瘍を伴う淡紅色,示指頭大の単発性腫瘤につき病理組織学的に検討した.腫瘍は大小の嚢腫状,管腔様構造および充実性巣状胞巣からなる実質と結合織の増殖した間質からなり,周囲の正常組織との境界は明瞭であった.また,実質の構成細胞としてclear cellと上皮様細胞の2種が認められた.以上のような組織像から組織学的にclear cell syringomaとしての特徴を多分に有した真皮内汗器官(とくにeccrine系)の良性腫瘍と考えられた.森岡・三島の分類ではeccrine ductadenomaの範疇に属するかと思われたが,eccrine duct epithcliomaとしての特徴も一部に認められた.かかるclear cutには分類困難な腫瘍について,その臨床および組織像の詳細を記録にとどめておくのも意義あることと思われる.
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