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原著
尖圭コンジローム—有茎性乳頭腫の形で単発した1例の報告と教室例の臨床的・光顕的・電顕的観察
著者: 木村俊次1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.1015 - P.1020
文献購入ページに移動 78歳男,右陰嚢前面に有茎性乳頭腫の形で単発した尖圭コンジロームの臨床・組織・電顕所見を報告し,併せて最近20年間に慶大皮膚科で臨床的・組織学的に尖圭コンジロームと診断された本症例を除く19例についても臨床・病理学的および電顕的に観察・検討を行った.78歳男例の組織像は定型的で,電顕的にもヒト乳頭腫ウィルスに一致する構造を認めた,教室例19例中有茎性乳頭腫で単発したのは僅か1例で,しかもその症例は付近にいわゆるmulticentric pigmented Bowen's diseaseを合併していた.組織学的には定型疹の他,アカントームとしかいえない初期の小皮疹も認められた.電顕的観察は4例について行ったが,表皮上層ケラチノサイトの核・細胞質の浮腫・膨化と核周囲の空胞化とが特徴的であった.表皮基底板の連続性はいずれも保たれていた.
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