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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科34巻12号

1980年12月発行

雑誌目次

図譜・458

Hemangiopericytoma

著者: 谷井司 ,   泉谷一裕 ,   長濱萬蔵

ページ範囲:P.1112 - P.1113

患者24歳,男性
初診昭和53年9月21日

原著

足踵部悪性黒色腫手術創の短趾屈筋弁による一期的再建例

著者: 大原国章 ,   斎田俊明 ,   川島真 ,   新村眞人

ページ範囲:P.1115 - P.1119

 足踵に生じた悪性黒色腫の2例を報告し,musculus flexor digitorum brevis (短趾屈筋)によるmuscle flapの手技について図説した.また,悪性黒色腫の手術療法に関する諸家の見解を紹介し,あわせて筆者らの考えも述べた.

単純性血管腫に対するアルゴンレーザー治療の組織学的検討

著者: 鈴木茂彦 ,   森口隆彦 ,   井上邦雄

ページ範囲:P.1123 - P.1129

 昭和54年1月から55年2月までに,91例の単純性血管腫患者に対し,アルゴンレーザー照射を行った.このうち72例について,照射前および照射後に皮膚生検を行い,組織学的に検討し,臨床効果との関係を考察した.
照射前の組織像を,まず毛細血管の拡張程度から,Ⅰ.毛細血管がほとんど拡張していないもの,Ⅱ.拡張血管と拡張していない血管が混在しているもの,Ⅲ.ほとんどの血管が拡張しているもの,の3通りに分け,さらに,Ⅱ型,Ⅲ型を拡張血管の分布から,S.真皮上層にとどまっているもの,d.真皮令層に及んでいるもの,の2段階に整理し,全部で5つの組織型に分類した.
この分類にしたがって照射前後の組織像を比較したところ,組織学的にみた治療効果はⅡs型,Ⅲs型が最もすぐれ,Ⅲd型,Ⅱd型と続き,Ⅰ型が最も劣ることがわかった.また照射後6ヵ月以上経過した45例を組織別に分け,臨床効果を調べた結果も同様であった.

Intravascular Papillary Endothelial Hyperplasia

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.1131 - P.1137

1) Intravascular papillary endothelial hyperplasia (IPEH)の5例を報告した.IPEHはhemangioendotheliome vegetant intravasculaire (Masson)およびintravascularangiomatosisと同症と考えられ,組織所見が血管肉腫あるいは悪性脈管内皮腫と類似する点で注目されたものである.
2)自験例は37歳男右手掌(典型的IPEH),16歳男左頬(初期IPEH),53歳男左手掌(初期IPEH),56歳女下口唇(動静脈瘻に合併),28歳女右手掌(capillary hemangiomaに合併)に生じたもので,いずれも組織学的に乳頭状の内皮増殖,すなわち互いに交通する血管腔を囲み,一層の内皮細胞で覆われた乳頭状の索状形成,が多少とも認められた.
3) IPEHおよびその類症について原著論文中心に検討し,ある程度の臨床的特徴がみられること,血栓およびその器質化と関係が深いこと,何らかの基礎疾患に続発したものと考えられること,良性かつ反応性の増殖である点でIPEHという名称が現時点では最も好ましいことなどを指摘した.

ヘルパーT細胞機能を有した菌状息肉症の1例

著者: 小林與市 ,   板見智 ,   橋本公二 ,   西岡清 ,   谷口信博

ページ範囲:P.1139 - P.1144

 55歳,男子.菌状息肉症にて加療中,表在リンパ節腫大後に白血病化を来たし,同時に帯状疱疹とPneumocystis carinii肺炎を時期を異にして併発した症例を経験した.免疫学的検査により,この患者の血中腫瘍細胞が,ヘルパーT細胞機能を持つことを見い出した.この腫瘍細胞の特徴を含めて,菌状息肉症とセザリー症候群との異同を検討した.

Fibrous Papule of the Nose—光顕的および電顕的観察

著者: 山崎雄一郎 ,   田村晋也 ,   木村俊次

ページ範囲:P.1145 - P.1150

1) Fibrous papule of the noseの記載に一致する61歳男,45歳女の2例を報告した.
2)いずれも鼻部に生じた自覚症状のない小腫瘤で,組織学的には表皮内の大型明調細胞と真皮における血管および膠原線維の増生とが特徴的に認められた.
3)表皮内の大型明調細胞は周囲の細胞との間に細胞間橋を有し,PASおよびコロイド鉄染色陰性で,浮腫性膨化をきたしたケラチノサイトと考えられた.
4)61歳男例では,母斑巨細胞と思われる細胞が見出され,本症の母斑細胞母斑由来が示唆された.
5)また本例は電顕的にも観察し,光顕所見にほぼ符合する所見をえた.
6)本症の疾患概念について文献的に考察した.

Multiple Satellite Granuloma Telangiectaticumの1例—本邦報告例10例の総括

著者: 稲本伸子 ,   中村絹代

ページ範囲:P.1151 - P.1154

 20歳,女,学生.左乳房下方の拇指頭大,紅色腫瘤摘出後,約3ヵ月して術創を中心に衛星状に多発した血管拡張性肉芽腫の1例を経験した.電気焼灼およびステロイドクリームODTを施行したところ,5ヵ月後には焼灼部に瘢痕を残して皮疹は消失した.あわせて本邦報告例10例につき集計したところ,男子は女子よりやや多く,10〜20歳代の若年者に多く,好発部位は躯幹,特に肩胛部で,初発疹治療約1〜7ヵ月後に発生する傾向がみられた.

特異な臨床像を呈した乳児のMastocytosisの1例

著者: 渡辺晋一 ,   堀嘉昭 ,   小堀辰治

ページ範囲:P.1155 - P.1160

 5ヵ月,男児.出生時に体幹,四肢に褐色色素斑を数個認め,生後1週間ほどして入浴後,全身の潮紅発作をおこした.その後,同様の潮紅発作を時々おこすも,意識障害,痙攣,下痢,呼吸困難等はなかった.また,いくつかの色素斑部に水疱を繰り返し生じた.初診時,体幹,四肢,頭部に1.0×0.5cmから7.0×3.0cmの種々の大きさの褐色色素斑が合計14個認められ,それらのうちの多くは結節状に隆起し,硬くふれた.組織学的には,マスト細胞が表皮直下から脂肪織の隔壁まで腫瘍性に増殖し,膠原線維束を圧排し,いわばmastocytomaの多発型と称すべき症例であった.昭和45年から昭和54年の過去10年間,本邦におけるmastocytosisの症例は,文献上調べ得た限り143例あったが,臨床像の明記してあるものには,本症に相当するような病像を呈したものはなかった.

Subcutaneous Dermoid Cystsの1例

著者: 奥野博子 ,   杉浦丹 ,   石川謹也

ページ範囲:P.1161 - P.1165

 11歳,男子の右耳介後部に発生したsubcutaneous dermoid cystsの1例を報告した.組織像は皮下組織中に存在する表皮様構造の壁をもった嚢腫で,これに毛嚢,皮脂腺,汗腺その他の皮膚付属器を有するのが特徴である.
Brownstein & Helwigの文献に従って,従来のいわゆるdermoid cystの中から独立した疾患としてのsubcutaneous dermoid cystsについて若干の考察を加えた.

単発性グロムス腫瘍

著者: 安野洋一 ,   佐藤みち子 ,   丹野憲二

ページ範囲:P.1169 - P.1173

 45歳男子の下腿に生じた単発性グロムス腫瘍の1例を報告した.文献的に本邦報告例の組織所見から,指趾末端とその他の部位に生じたものとでは病型が異なり,前者ではepithelioid formが多く,後者ではangiomatous formやグロムス器官の各要素がほぼ均等に認められる症例が多かった.なお本症の分類,発生母地などについて若干の考察を行った.

多発性グロムス腫瘍

著者: 木花光 ,   山崎雄一郎 ,   北村啓次郎

ページ範囲:P.1175 - P.1181

1)多発性グロムス腫瘍の28歳女子例を報告した.両上腕伸側に皮下腫瘍として12個存在し,数個に圧痛を認め,被覆表皮が紫紅色を呈したものもあった.圧痛の強かった腫瘍を摘出し,病理組織学的に真皮から皮下にかけてグロムス細胞に囲まれ,不規則な形の拡張した内腔を有する異常血管の増殖を認めた.また腫瘍内に神経が見られた.
2)多発性グロムス腫瘍の本邦報告例26例を集計した.10歳代,20歳代の発症が多く,腫瘍の個数は10個以下が多かった.ほとんどの例で被覆表皮は青色〜紫紅色を呈した.多発性グロムス腫瘍と単発性グロムス腫瘍では,腫瘍の個数だけではなく臨床及び組織所見において種々の相違があるが,多発型の中には単発型の異型と考えられるべき,単発型に類似の所見を示す例も多かった.

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臨床皮膚科 第34巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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