臨床皮膚科34巻2号

1980年02月発行

原著

Bowen病の1例—子宮上皮内癌と陰部疱疹を合併し，HSV−2感染の考えられる1例

著者： 戸田道子¹ 中山秀夫¹ 谷口貞子² 西迫平雄³ 原田玲子⁴

所属機関： ¹済生会中央病院皮膚科 ²済生会中央病院ウイルス室 ³済生会中央病院産婦人科 ⁴東京電力病院皮膚科

ページ範囲：P.139 - P.143

文献概要

　大腿部のBowen病に，子宮頸部上皮内癌を合併していた86歳女子に対して，皮疹切除術ついで子宮頸部に⁶⁰Co照射治療を行った．放射線照射中に陰部疱疹が出現し，血清ヘルペス補体結合抗体価が高値を示し，PN差は中間型を示した．ヘルペスと子宮癌の関連，Bowen病と内臓悪性腫瘍の関連は別個に注目されているが，3者の合併はきわめて稀であり，ヘルペスと癌の関連を検討する上で興味深い症例と思われる．