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綜説
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抗原が生体内に入ると体液性あるいは細胞性の抗体が産生され,同じ抗原が再び生体に侵入したときに特異的に抗原抗体反応がおこる.この反応は抗原をすみやかに処理し,外界からの異物の侵入から生体を守る機構の1つと理解され,免疫反応と呼ばれている,ところが中には抗原抗体反応に引き続いて炎症など,生体にとって不利な反応が惹起されることがあり,これを特にアレルギーと呼んでいる.このうちimmune complex病は抗原と体液性抗体(免疫グロブリン)との結合物(免疫複合体,immune complex,以下ICと略す)が組織に沈着し,そこで惹起する障害をいい,この概念はすでにCoombsとGell1)によってなされたアレルギー反応の分類の第Ⅲ型に入れられているが,一方,膠原病あるいは自己免疫疾患をはじめとして多くの疾患の発現にこのICが関与していることが注目され,これらの疾患は新しくimmune complex病(以下IC病と略す)という観点から研究が進められている,本稿では次の順にIC病の基礎と臨床について述べてみたい.
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