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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科34巻3号

1980年03月発行

原著

尖圭コンジロームの黒色調丘疹といわゆるMulticentric Pigmented Bowen's Diseaseとの関係について

著者: 木村俊次1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.215 - P.221

文献概要

 尖圭コンジロームに伴う黒色調丘疹(CAPP)およびいわゆるmulticentric pig—mented Bowen's disease (MPBD)に臨床的に酷似し,組織学的には両者の中間に位置すると思われる2症例を報告した.症例1は27歳男子で陰茎根部に黒色丘疹が多発し,症例2は33歳女子で後交連付近に黒褐色小結節が多発した.組織学的にいずねも軽度の配列の乱れ・大小不同を伴う表皮増殖を示し,電顕的にも表皮増殖性の変化およびトノフィラメントの集合傾向を示した.症例2では核周囲の空胞化も一部にみられた,ウイルス様粒子は2例とも見出せなかった.この2例と共通点を有するCAPPおよびMPBDについてそれぞれの病像を比較したところ,両者の間にはボーエン病様組織変化の有無という違いのみが存在すること,MPBDには組織像の変動がありうること,そして多核表皮細胞は良性・非腫瘍性の疾患にもみられること,などからMPBDはCAPPに多核表皮細胞をつくるような刺激が加わって生じるものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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